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だるい、疲れる、元気がでない...。そんな「5月病」の原因は鉄が足りないから!?

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豚レバーは鉄分の王様 shutterstock.com


 新緑まぶしい5月というのに、なんだかだるい。新年度からの疲れが、ここに来てドッと出ているのだろうか。はっきりと悪い箇所はないのに、だるい、今ひとつ元気が出ないというアナタ。それは、鉄分不足によるだるさかもしれない。

 これまで貧血症状に陥ったことがないという比較的健康な人でも、鉄分は意識的に摂りたい栄養素のひとつだ。体内の約70%の鉄分は、血液中の赤血球の成分として存在し、全身に酸素を運ぶ役割を担っている。これが俗に"働く鉄"と呼ばれる鉄機能。

 では、残りの30%の鉄分はというと、この"働く鉄"の不足に備えて肝臓や脾臓、骨髄に蓄えられている、いわばバックアップ用の鉄分で、その名も"備えの鉄"と呼ばれている。この備えの鉄が、底をつくと起こってくるのが鉄欠乏性貧血だ。

1日に10㎎は鉄を摂取しよう

 

 血中ヘモグロビン値は正常で、「貧血」と診断されなくても、体内の鉄貯蔵がじわりじわりと少なくなり、「隠れ貧血」が進行している、ということもある。この鉄不足の初期症状が、だるさや疲労感の正体だったりするのだ。

 厚生労働省がまとめた「日本人の食事摂取基準(2015年版)」によると、鉄を最も必要とするのは、10〜14歳の月経のある女子で、推奨量は14㎎。成長に伴い血液の量が増えて代謝が著しい年代、というのがその理由だ。さらに女性は、月経血で血液が失われ、また妊娠・授乳期は鉄の必要量が増え、そして閉口後は骨粗しょう症の予防のために、生涯を通じて、つねに鉄分が不可欠だ。男性・女性、世代を問わず、1日に10㎎は摂りたいと心得よう。

 小・中学校時代の朝礼で、女子生徒が貧血でバタバタと倒れていたのも、10代で激しい運動で体を酷使する女子アスリートが無月経に陥りやすいのも、この"月経のある成長期女子"ならではの特徴なのだ。

 また、国立スポーツ科学センター(JISS)が、国内トップレベルの女性アスリート683名に調査した結果、その約40%に、無月経を含む月経周期異常があったという。特に、激しいスポーツに加え、食事制限の厳しい体操、新体操、フィギュアスケートなどでその割合が高く、それが、ひいては疲労骨折の一因にもなりやすい。

 スポーツで汗をかくことでも鉄分は失われるから、発汗量の増えるこれからの季節には、アスリートに限らず、なおさら意識して摂取量を増やしたいところ。だるい、疲れやすいといった5月病も、実は、鉄分不足が一因となっていることも多いのだ。

"隠れ貧血"にご用心。疲れやすいと感じたら

 

 では、その鉄分をおいしく食事から摂るための、オススメの食材を見てみよう。

 鉄分の王様、これは豚レバーで、ほかの食品よりグンを抜いて鉄分含有量が多く、60グラム(薄切り6〜7枚)につき、7.8㎎。また、貝類全般も鉄の宝庫と呼ばれ、もっとも簡単に調理できそうなアサリの水煮缶半分でも、同程度の鉄分が含まれるとされる。さらに、鉄分含有量の多い食材としては、カツオ、ほうれん草、レンズ豆、ひじきなどが挙げられる。

 焼き肉、焼き鳥などでレバーを食べるのが大好き、という人はさておき、自分で料理する場合、レバーは、通常の牛肉や豚肉と違って、より鮮度の良い物を手に入れて料理する必要がある。また、そもそも調理も食べるのも苦手、という人も少なくない。また、その他の食材も、そうそう大量に食べられるものではない。

 そこで、食材のゾーニングを意識して見てみよう。カツオのかわりにマグロやブリなどの赤身魚にも鉄分が多い。アサリの場合も、貝類は全般に鉄分が豊富。青菜の場合は、ほうれん草だけでなく、小松菜、チンゲンサイなどにも鉄分が豊富で、さらに青菜には鉄分の吸収を高めるビタミンCも豊富だから吸収率があがる、という知識を頭の隅っこに入れておこう。これくらいの食材グループをインプットしておけば、朝食、昼のお弁当、夕食とどこかで必ず1品は鉄分補給しやすい献立にできるはずだ。

 通常の食事で鉄分過剰に陥ることはないが、鉄剤を過剰に摂取すると吐き気がするなどの胃腸の不調を引き起こすことがある。手っ取り早くサプリメントで済まそうとするのは、ご用心。やはり、ほかのさまざまな栄養素とともに、食事でおいしく賢く取り入れるのが一番だ。そして、これからの汗の季節をはつらつとむかえよう。
(文=編集部)

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