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太陽と健康の関係に新発見 "太陽活動"が人の寿命を左右する!?

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11年周期の太陽活動に異変か?

 太陽は巨大な火の玉である。直径は地球の109倍。中心部では水素が核融合をおこし巨大なエネルギーを放出している。水素が燃えて火や熱を出し、ヘリウムという燃えカスができていると考えればわかりやすい。年齢は約46億歳。水素が燃え尽きる、およそ50億年後には寿命を迎えるという。

 表面温度は約5500度。地球上の生物に明かりをもたらし、暖かさを恵む。太陽光に含まれる紫外線は、私たちの体内でビタミンDを生成し、丈夫な骨や歯を作る働きがある。

 また、太陽の光をあびると気持ちが晴れ晴れするのは、脳内のセロトニンという物質が活動するからだ。セロトニン不足はうつ病を引き起こすため、冬季に日照時間が極端に短くなる北欧諸国では、季節性のうつ病が増えるといわれている。

 「極夜(ポーラーナイト)」をご存知だろうか? 緯度が高い地域で冬季に1日中太陽が昇らない時期をこう呼ぶ。太陽から吹き付ける陽子の風が大気にぶつかり、夜空に色とりどりのオーロラを繰り広げる。心奪われる壮大な景色を眺められたとしても、やはり人は太陽が恋しくなるらしい。

 そのオーロラの国・ノルウェーの研究チームが、太陽と人間の寿命について驚くべき関係について発表した。

太陽活動が活発な時期に生まれた人は5.2歳も寿命が短い

 

 太陽を観察すると、11年ごとに活動が活発な時期とそうでない時期が繰り返されている。この周期と人間の寿命の関係について、研究チームは、1676年から1878年のおよそ200年にわたる教会の記録を調べた。教会には、住民の「誕生・死亡・職業・子どもの数」が記録されているのだ。

 同じ緯度に位置する島と内陸部の2つの地域9000人余りの記録を分析。すると、太陽が活発な時期に生まれた人々は、そうでない時期に生まれた人々に比べて寿命が5.2歳も短かったのだ。特に注目されるのは乳幼児死亡率で、活発期に生まれた女児の数字が高いという。

 研究チームは、太陽の紫外線がDNAの生成や修復に関わり、胎児の健全な発達に不可欠なビタミンB9を破壊するからではないかと推測している。それで太陽活動が活発な時期には、弱い赤ちゃんが生まれるのだと。

 衝撃的なこの見解に対して、もちろん別の意見もある。

活発期に戻らない太陽、氷河期が来る?

 

 太陽の活発期に赤ちゃんが弱いのは、食べ物のせいだと考える人もいる。イギリス(1260~1720年)とアメリカ(20世紀)の小麦価格と太陽活動の関係を調べたイスラエルの論文によると、小麦の価格と太陽活動の11年周期はほぼ重なるという。

 だから、太陽活動の活発期には小麦価格が高く、妊婦さんや授乳期の母親の栄養が不十分にならざるを得なかったために、赤ちゃんが弱かったのだというのである。

 いずれにしても、紫外線説も食べ物説も、"火の玉"の燃え方が少し変わるだけで、いかに私たちに大きな影響を与えるかを物語っている。

 さらに、太陽の活動周期にはマウンダー極小期なるものもある。これは、数十年に渡って太陽の活動がおとなしい時期が続くものだ。過去5000年ぐらいを調べた研究によると、マウンダー極小期はいずれも小氷河期に対応しているという。最近では1645~1715年がそれにあたり、ロンドンのテムズ川が凍った記録がある。

 この極小期の周期はよくわかっていないが、ここ数年、太陽が11年周期を過ぎても活発期に戻らずおとなしいままだ。「もしかして氷河期が来るのか?」と一部で騒がれている。
(文=編集部)

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