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【連載第6回 薬は飲まないにこしたことはない】

接種後2割以上に副作用が! 子宮頸がん予防ワクチンの賛否

 前々回、インフルエンザワクチンの副作用リスクに言及したが、今回は子宮頸がん予防ワクチンについて触れてみたい。

 子宮頸がん予防ワクチンはHPV(ヒトパピローマウイルス=ヒト乳頭腫ウイルス)ワクチンとも呼ばれ、発がん性のあるHPVのうち、子宮頸がんになるリスクの高い「16型」と「18型」の感染を予防する抗体をつくる。「感染を予防すれば発症を回避できる」とされ、国が全面的に接種を推奨。2010年からは多くの自治体で、女子中学生に対する接種が無料化された。

 その結果、多くの女子中学生がワクチンを接種し、さらに、テレビや新聞でワクチンの有効性が報道されたことから、有料となる18歳以上の女性にも接種希望者が増加した。

 だがその後、ワクチン接種者のうち2割以上の人に副作用があったことが判明する。

 厚労省によると、2010年11月から2013年3月報告されたのは1196件。その症状は、嘔吐、関節痛、局所の疼痛、手足のしびれ、失神など一時的なものから、アナフィラキシーショックや四肢の運動能力の低下、体が痙攣する不随意運動、ギラン・バレー症候群、急性散在性脳脊髄炎などの重大なものまで多岐にわたる。

 2011年には、心臓に持病を抱えていた女子中学生が接種後に死亡したことが報告された。ワクチンとの関連性は否定されたものの、何らかの化学反応が起こった可能性は捨てきれない。

 これらを受け、ワクチンを推奨していた国は、2013年6月、積極的な接種勧奨を取りやめることを決定。なお、現在もそれほどの高リスクはないとされ、「定期接種」の対象となっている。なお、厚労省では「予防接種後副反応報告書集計報告書」を毎年発表しており、ホームページで閲覧できる。

性交渉の経験がある女性には、あまり意味がない

 実は、副作用が表面化する前に、何人もの知人から「接種すべきかどうか?」という相談を受けた。私はその度に、相手の年齢を問わず、「絶対打たないように」と忠告した。

 もちろん、その副作用が大きな理由だが、それだけではない。HPVは性交渉で感染するもので、全員ではないが性交渉経験のあるほとんどの女性が一度は感染している。つまり性交渉経験者の女性に対して、ワクチン接種はあまり意味がないのである。

 また、この子宮頸がん予防ワクチンは、海外で製造・輸入されており、日本人女性に対する予防効果は、欧米ほど高くない。欧米ではHPV16型・18型感染による子宮頸がんは7~8割にのぼるが、日本では6割程度だ。さらに同ワクチンは、この2つのHPVを対象にしているため、発がん性のHPVをすべて防ぐわけではない。

 しかも、このHPVは新種ではなく、昔から存在していた、決して珍しくないウイルスだ。また前述の通り、かなり多くの女性が感染しているもので、感染したからといって全員が発症するとは限らない。

 だが、ここ20年間で子宮頸がんによる死亡者は1.5倍に増加している。これは、感染者が増えたり、ウイルスが発がん性を高めたりしたわけではなく、現代の女性の免疫力が低下したことと関係があるといえるだろう。

 免疫力が高まれば、ウイルスを排除することも可能になる。予防意識は大事だが、接種後に副作用や重大な事態を招くおそれのあるワクチンを打つよりも、たとえ感染しても発症させない免疫力を保持することのほうが大切なのではないだろうか。


連載「薬は飲まないにこしたことはない」バックナンバー

宇多川久美子(うだがわ・くみこ)

薬剤師、栄養学博士(米AHCN大学)、ボディトレーナー、一般社団法人国際感食協会代表理事、ハッピー☆ウォーク主宰、NPO法人統合医学健康増進会常務理事。1959年、千葉県生まれ。明治薬科大学卒業。薬剤師として医療の現場に身を置く中で、薬漬けの医療に疑問を感じ、「薬を使わない薬剤師」を目指す。現在は自らの経験と栄養学・運動生理学などの豊富な知識を活かし、薬に頼らない健康法を多方面に渡り発信している。その他、講演、セミナー、雑誌等での執筆も行っている。最新刊『薬を使わない薬剤師の「やめる」健康法』(光文社新書)が好評発売中。

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