国民生活と国民感情に背く事ばかりの行政
この様に述べること、決して個人攻撃をしている訳ではない、その立場にしてその言動が見過ごせないのだ。
一波以来このコロナ禍にあって、日本の感染症対策トップリーダー機関として、指定感染症の勧告権限ある機関として、感染データと行政検査という手段を独占する機関として、何よりも国民の健康を第一に考え対策しなければならない機関としては余りにも、国民生活と国民感情に背く事ばかりではないのか。亡くなられた羽田議員の事も、PCR検査が拡充されていて、何時でも検査が受けられる体制になっていれば、避けられたのではないのか。未だにこんなことが生じること事態に憤りを覚える。
厚労省医系技官・分科会感染症専門家・感染研、これらが作る塊、感染症ムラの、不出来・隠ぺい紛い。国民感情的には恐れ乍らと「行政の不作為」を訴えたい位だ。
病院や高齢者施設で多くのクラスターが発生していると云うのに、エッセンシャルワーカーにさえPCR検査をやろうとしないのは、上先生が指摘された通り昨年7月に、無症状者を検査対象にしない、と感染症ムラの人々が決めたからだ。その際これについての厚労省から関係方面へ、「行政検査の対象者」として通達された基準は以下の通りです。
1.新型コロナウィルス感染症の患者
2.当該感染症の無症状病原体保有者
3.当該感染症の疑似症状患者
4.当該感染症にかかっていると疑うに足りる正当な理由がある者
1,2は感染確定者だ、それを行政検査対象と記述する意味が分からない。強いて言えば3,4の対象者が感染確定後、退院に向けて検査すると云うことか。
何れにせよ、無症状でウィルスキャリアになってしまう陽性者を見つけ出す考えは全く無いようで、関係筋が一致団結スクラム組んで、国民が求める方向とは反対のベクトルを示している。このPCR検査やりたくない感満載の様、なんと言ったら良いか言葉に詰まる思いだ。
PCR検査が拡充出来ない、あるいは拡充しない理由は時々の状況に応じて、医療施設に混乱をきたす・格段で目詰まりを起こしている・検査資材が不足している、記憶の限りではこんなもんでしょう。何れも、拡充したくない為の、嘘・おおげさ、に見えるが本当の理由は何だ。
PCR検査費用を6,000円に設定し、積極的に無症状感染者の発見に努力する墨田区保健所の西塚至所長は、メディアの質問「検査を増やすと医療施設に混乱をきたさないか?」に、多くが軽症又は無症状の若い感染者であり病床に影響は無いと答えた。
金額だけを捉えれば、一人10万円の給付金は最も安いレベルの検査50回分、毎月2回検査するなら2年分に当たる。こう見るとお金の問題も病院の混乱も無さそうだが、予防具体策が無いままに医療崩壊の瀬戸際に至ってしまった。
特措法下、厚労省以下此に係わる行政機関に、入院勧告と云う強い権限が与えられている事の反対側には、行政に課せられた国民の健康を守る義務が有ることは、云うまでも無いことでしょう。PCR検査の拡充をするのに、然したる出来ない理由も無いのにこれをやろうとしないのは、行政訴訟を起こせる「行政の不作為」に当たる事ではないのでしょうか。
今後は感染抑制を図り、特措法の改正に向かうことでしょうが今のところ、国民に規制を求める方向しか伝わって来ていない。このコロナ禍で在たとしても、憲法に保障されている「健康で文化的な生活」が守られていることでしょうか。
コロナに感染しても即座に検査に辿り着けるのか心配が尽きない、自粛しっぱなしの生活。憲法の記述とは、ほど遠い有り様だ。特措法改正を検討するなら、国民を縛る事ばかりでなく、国民生活と国民感情に背く事ばかりの行政の不出来を改めるべく「立法の不作為」を言いたい。
(文=伊沢二郎)
※医療バナンス学会発行「MRIC」2021年1月14日より一部抜粋(http://medg.jp/mt/)
全文は http://medg.jp/mt/?p=10057