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「ノロウイルス」なぜ冬に流行? 牡蠣やホタテの刺身には要注意

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牡蠣やホタテの刺身には注意を!

 ノロウイルスは嘔吐と下痢を主症状とする急性胃腸炎の原因になるウイルスだ。ノロウイルスに感染し、一日中トイレから出られない経験をした人も少なくないだろう。

 このウイルスによる急性胃腸炎は年間を通してみられるが、特に10月から4月頃までの間に流行しやすい。夏は高温多湿で食べ物が腐りやすく、食中毒にも注意が向くが、ノロウイルス感染症はなぜ寒い時期に多いのだろうか?

ノロウイルスは冬季のほうが長く生存できる

 冬季は、夏季よりも糞便や嘔吐物へのノロウイルスの排泄量がおよそ1万倍にも急増する。しかも、ノロウイルスは冬の低温乾燥の環境に適応しやすいため、体内外で長く生存できるのだ。

 国立感染症研究所のIASR(病原微生物検出情報2013年)によれば、ノロウイルスは食中毒の原因としては年平均で約40%に過ぎないが、冬の食中毒や腹痛の原因のおよそ80%を占める。

 冬の感染性胃腸炎の集団発生や嘔吐下痢症もほとんどはノロウイルスが原因だ。かつては原因不明だった大食中毒事件や集団感染事件を調査したところ、ノロウイルスによる発症が冬に集中している事実も判明している。

 1968年(昭和43年)、米国のオハイオ州ノーウォークの小学校で急性胃腸炎が集団発生した。患者の糞便から検出されたウイルスは発見地にちなみ、ノーウォークウイルスと呼ばれ、2002年、国際ウイルス分類委員会(ICTV)はノロウイルス属に分類した。ノロウイルスは食品中の検出が難しいため、食中毒の原因や感染経路の特定が困難という特徴がある。

 ノロウイルスに感染すると、乳幼児から成人まで全年齢層で胃腸炎を引き起こし、特に小児は重症化しやすい。ノロウイルスの感染力は非常に強いため、病院、老人ホーム、保育所などで食中毒が集団発生することも多々ある。

 ノロウイルスに感染する原因は何か。ノロウイルス感染症は、主に環境中のホコリ、糞便、嘔吐物などに存在する極少量のウイルスが口から入る“経口感染”によって発生する。家庭、老人ホーム、病院、保育所などのヒトの接触機会が多い場所で飛沫感染することが多い。

 また、食品取扱者(食品製造の従事者、飲食店の調理従事者、家庭の調理者)を介して汚染した食品を食べて発症することもある。さらに、汚染した二枚貝(牡蠣やホタテ貝)を生食あるいは十分に加熱調理せずに食べたり、汚染した井戸水や簡易水道を利用したりしても発症する。このように複数の感染経路があることから、ノロウイルス感染症を制御するのは困難であるため、食中毒の集団発生につながるのだ。

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