涼しくなっても心身の疲れが取れず、ぐったりしている人も……(depositphotos.com)
記録的な猛暑もピークを過ぎ、朝晩が涼しくなり、ようやく過ごしやすくなってきた。これから秋になると、ホッとしている人も多い。
その一方で、夏に受けたダメージやだるさが続いたり、やる気が起こらなかったり、心身の疲れが取れずにぐったりしている人もいるのではないだろうか?
「じつは、夏場はつい糖質を取りすぎてしまう季節なんです。そのために、タンパク質や鉄分などが足りなくて、軽いうつ状態になっているケースも少なくありません」と、「亀ドク」こと亀川寛大(かめかわ・かんだい)医師は語る。
亀ドクは「なごみクリニック」(熊本市)で院長を務める傍ら、ファミレスや牛丼屋などに血糖測定器を持参して、食事をしては食後血糖値を測っている。その調査結果をまとめた『ラーメン好きの医者が教える糖質制限の外食ガイド』(マキノ出版)が好評だ。
秋に持ち越してしまった夏バテやうつ状態を解消する方法を、亀ドクに教えてもらおう。
血糖値の乱高下が倦怠感や気分の落ち込みを招く
「暑い時期は、冷たいジュースやアイスクリーム、かき氷がおいしく感じられますよね。食事でも、肉や魚よりもさっぱりした素麺や蕎麦で済ませてしまいがちです。ただ、こうした食生活だと血糖値が激しく上がったり下がったりしてしまうんですよ」と、亀ドクは困り顔で話す。
血糖値の乱高下は、精神的にも悪影響を与えるそうだ。
亀川寛大『ラーメン好きの医者が教える糖質制限の外食ガイド』(マキノ出版)
ジュースや麺類など糖質の塊といえる飲食物を取ることで、血糖値が急激に上がる。そして、血糖値を下げるホルモンであるインスリンが、大量に分泌される。結果として、血糖値が急激に下がる。このときに、猛烈な眠気やだるさが現れる。
すると、今度は血糖値を上げるホルモンのアドレナリン、コルチゾールが分泌される。これらのホルモンによって、精神的に興奮して攻撃的になったり、イライラしたりする。
それが繰り返されると、コルチゾールを分泌する副腎が疲労し、倦怠感や気分の落ち込みに悩まされるわけだ。
「以前、私はラーメンが好きで『ラーメン先生』と呼ばれていた時期があるんです。その頃はメタボ体形だっただけでなく、疲労感にも悩まされていました。今は糖質を控え、タンパク質・脂質を優先する食事にしているので、疲れ知らずですね。仕事で忙しくなっても、イライラすることはありません」と亀ドク。
糖質制限を自ら実践しているだけのことはあり、はつらつとしている。
糖質量を減らす食生活を心がけることが大事だということはわかった。だからといって、焼き肉やステーキを食べるような元気はないし、自分で料理をするのもおっくうだ。
そんな人のために、「疲れているのだから、仕方がありません。そんなときは、外食を上手に利用するといいですよ」と亀ドクがアドバイスをくれた。