マスの魚卵を使ったイクラ(マスコイクラ)は化学調味料まみれ!(depositphotos.com)
ウナギ、サンマ、サケ、スルメイカ……。魚介類の価格高騰が止まりません。なかでもイクラの価格高騰が半端ではありません。
2018年6月の東京都中央卸売市場(築地市場)におけるイクラの平均卸価格は、1キロ当たり6839円。前月からまた8%ほど上昇し、前年6月と比較すると19%ほど高くなっています。また、6月としては過去5年で最高の価格を記録しました。
今やイクラは、高級食材に様変わりしています。昨年来、北海道では、サケの人工孵化施設で生簀(いけす)内のサケの腹が割かれ、卵だけ盗まれる事件が頻発しています。
イクラ価格高騰の原因は、2年連続の秋サケ(シロサケ)の歴史的不漁にあります。イクラは秋サケの卵なのですから、当然、イクラも圧倒的な品不足になっているわけです。
イクラはコピー食品の代表格
イクラ価格が高騰しても、消費者の「イクラを食したい」という旺盛な欲求がなくなるわけではありません。逆に利に聡い食品業者が、こんなチャンスを見逃すはずはありません。ホンモノのイクラが手に入りずらいのなら、そっくりなものを探すか作るかして売れば大儲けできる。ということで、「多種多様なイクラ」が登場しています。
イクラはコピー食品の代表格で、植物油脂とグルタミン酸ナトリウム、アルギン酸ナトリウムなどの添加物で作られた「人造イクラ」は、以前からスーパーで「サーモンドロップ」の名称で販売されていていました。「本品はイクラではありません」の表示もされています。
もしこれを回転寿司などで「イクラ」とメニューに書いて販売したら、不当景品類及び不当表示防止法(通称:景品表示法) 違反。チェーン店ならば、悪くすれば全店が閉店になりかねません。そんなリスクを犯す回転寿司店はないと思いますが……。
しかし、イクラの価格が高騰しているのに、回転寿司などからイクラがなくならないのはなぜでしょう?
「人工イクラ」より安い「天然イクラ」が商品化
そのいちばんの理由は、「人工イクラ」より安い「天然イクラ」が商品化されたからです。それは、マスの魚卵(マスコ)を使ったイクラ(「マスコイクラ」)です。「マスはサケ科だから、天然イクラと表示しても問題ないだろう」というわけです。実はイクラに限らず、激安のサケ缶詰の大部分がマスです。
水産卸業者によると、2018年夏時点で秋サケの魚卵を使った「本物のイクラ」の卸値は、質の悪いロシア産で100g当たり375円程度、北海道産で775円前後、「人造イクラ」は338円、「マスコイクラ」が320円~476円で取引されているといいます。
マスコイクラなら、人造イクラ並みに価格は安いうえに、「天然イクラ」と表示もできるのだから、回転寿司チェーンなどの外食関係者が飛びついているのも当然です。