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【インタビュー「インプラントトラブルの実態」前編:日本橋インプラントセンター所長・玉木仁氏】

インプラント治療のトラブルの実態〜原因の多くは価格破壊と勉強不足

「大学病院なら安心」が通用しないインプラント治療

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本来使わない銀合金やプラスチックを使っての格安インプラント例(他院)

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他院でその日のうちに人工歯が入る「即時荷重インプラント」を実施しての失敗例

 インプラントのような高度な外科手術を受けるなら、「大学病院が技術的に最先端で安心だ」と思う人は多い。町のクリニックから、大学病院を紹介されることも多い。だが、この大学病院でインプラントを受けるのも、リスクが伴うと玉木先生は言う。

 「大学病院というところは、経験の少ない若い先生が多いんです。そのうえ、非常に保守的で制度上の問題もある。大学病院では、厚生労働省が認めていない材料を用いるには、倫理委員会を通さないといけません。そのため海外で当然のように使用されている材料を使うことができません。例えば、インプラント手術時に骨移植が必要な場合、欧米では代用骨を使用するのが一般的なのですが、日本の大学病院では自家骨移植という非常に患者の身体に負担をかける手術がメインになっています。そして30年前にアメリカで行われていて今では使われなくなった治療法が、いまだに行われている大学病院もあるんです」

 そして次のように話を続ける。

 「また、大学病院でインプラント治療を行うためには、口腔外科や矯正、歯周病、補綴、インプラント科など、さまざまな科が絡むことになります。でも、たとえば歯周病科は歯を残す科ですが、インプラント科は歯が無くなった時に役に立つ科なので、考え方が違う。それぞれの科の先生に言い分がありますから、連携がうまくいかずにトラブルになるケースも少なくありません。大学病院で入れたインプラントの経過が悪くて、先生同士が責任のなすりあいを始めたのを見て、不安になってウチに来た患者さんもいるぐらいです」(続く)
(取材・文=岡崎 亨)

玉木仁(たまき・ひとし)
東京・八重洲の「日本橋インプラントセンター」所長。
1960年、新潟県生まれ。歯学博士(東京医科歯科大学)。1990年代初頭にインプラント治療に出会い、インプラントこそが健康な歯を削らずに済む「予防」を兼ね備えた治療法だと確信。以後、インプラント治療と研究に邁進してきた世界最先端のインプラント技術を修得している国内有数の歯科医。国際インプラント学会専門医・指導医。日本口腔インプラント学会専門医。アメリカインプラント学会アクティブメンバー。欧州インプラント学会アクティブメンバー。ニューヨーク大学インプラント科CDE修了。ベルン大学、チューリッヒ大学、ハーバード大学、UCLA、ペンシルバニア大学の各大学インプラント学科アドバンスコース修了。著書に『1万本を治療した名医が実証した長生きインプラント』(ユサブル)がある。

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