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【シリーズ「子どもには絶対に使ってはいけない生活用品」38回】

安い焼き肉の正体〜TPPで輸入が加速する中南米産牛肉に注意!

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TPPで輸入が加速する中南米産牛肉に注意(depositphotos.com)

 牛肉価格が高騰している。吉野家も牛丼の価格を値上げした。牛肉価格高騰の最大の原因は、中国での異常なまでの火鍋人気。中国が米国、豪州産の牛肉を爆買いしているからだ。

 輸入牛肉高騰に四苦八苦しているのが、空前の焼き肉ブームにある日本の外食業者だ。米国産牛肉、豪州産牛肉に代わる、安くて安定供給できる輸入先として熱い視線を送っているのが、中南米産牛肉である。

ドーピング検査で判明したメキシコ産の牛肉の危険

 特にメキシコは、TPP(環太平洋経済連携協定)11加盟国であり、将来的には関税も撤廃されるとあって、牛肉の新たな安定的輸入先として注目されている。すでに輸入をしている業者もあるという。

 しかしメキシコでは、牛を早く成長させるために、薬物投与が日常的に行われている。それが白日の下に晒されたのが、プロボクサーの相次ぐドーピング違反である。

 今年3月、元ボクシング世界王者のサウル・アルバレス選手がドーピング検査を受け、禁止薬物のグレンフテロールが検出された。また、2017年8月15日に行われた世界ボクシング評議会(WBC)バンタム級タイトルマッチで、13度目の防衛を狙った山中慎介(帝拳)にTKO勝ちしたルイス・ネリ(メキシコ)に、試合後のドーピング検査で筋肉増強作用のあるクレンブテロールと同系統の禁止薬物ジルパテロールが検出された。ジルパテロールは家畜を太らせる目的で使われる物質で、ネリ選手側は「メキシコの食肉汚染が原因」とのコメントを出している。

 こうした汚染肉がTPPによって、ドッと日本に入ってくる恐れがあるのだ。

焼き肉店の「激安カルビ」に注意

 こうした汚染肉ばかりではない。牛肉高騰で今以上に氾濫することが確実なのが、安い「成型肉」である。最も注意しなければいけないのが、焼き肉店で出されるカルビだ。

 焼き肉店で、いちばんの人気メニューといわれるカルビ。1皿400円以下なら、くず肉を集めて人工的に作られた「成型カルビ」と見て間違いない。

 本来、カルビとは、牛の肋骨についている肉のことで、バラ肉ともいう。本物のカルビは、歯ごたえがあり、噛み続けていても口の中に固い筋が残る。成型カルビの場合、口に入れると肉がボロボロと崩れ、歯ごたえが感じられない。くず肉というのは、骨格や内臓など各種器官周辺部に付着している畜肉で、非常に低価格で取引される。

 成型肉にも様々あり、成型カルビは主に結着肉が使われる。激安焼き肉店で出す骨付きカルビも結着肉の範疇に入る。骨と肉の間に食用接着剤(酵素剤)と牛の白い脂身を入れて人工的にくっ付けたものだ。結着肉には、牛横隔膜を2、3枚、リン酸塩で結合させて作った「ミルフィーユ」と呼ばれるものもある。これもカルビに利用される。

 本物の骨付きカルビなら、直接、骨に赤身の肉が付いているが、もし付いていなければ「成型骨付きカルビ」と見ていい。本物の骨付きカルビを食べたければ、生の骨付きカルビを直接、目の前で焼いてくれて、骨のところを鋏で切り放してくれる店を選ぶことだ。

郡司和夫(ぐんじ・かずお)

フリージャーナリスト。1949年、東京都生れ。法政大学卒。食品汚染、環境問題の一線に立ち、雑誌の特集記事を中心に執筆活動を行っている。主な著書に『「赤ちゃん」が危ない』(情報センター出版局)、『食品のカラクリ』(宝島社)、『これを食べてはいけない』(三笠書房)、『生活用品の危険度調べました』(三才ブックス)、『シックハウス症候群』(東洋経済新報社)、『体をこわす添加物から身を守る本』(三笠書房・知的生き方文庫)など多数。

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