なぜ海馬の石灰化と認知機能は無関係?
研究を主導した同大学老年医学のEsther J.M. de Brouwer氏は、以下のようにコメントしている。
「認知症の中でも最も多いアルツハイマー型認知症では、脳の海馬が萎縮していくことが知られている。しかし驚くべきことに、今回の研究では、海馬の石灰化は認知機能と関連しないとする結果が得られた」
この理由として同氏は、海馬にはいくつもの層があり、石灰化しても記憶の貯蔵に重要な部位には影響しない可能性があることや、今回は対象者がすべて「物忘れ外来」を受診した患者であったことを挙げている。
今回の結果からは、糖尿病や喫煙習慣で海馬が石灰化するとは結論づけられないが、de Brouwer氏は「これらの間には強い関連があることが示唆される」と指摘する。
同氏は、最近の組織学的な研究で、海馬の石灰化は脳心血管疾患の徴候の一つである可能性が示されているとし、「喫煙や糖尿病はこれらの疾患のリスク因子であることから、喫煙や糖尿病が海馬の石灰化のリスク因子であっても不思議ではない」と話している。
(文=編集部)