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【 シリーズ「本能で楽しむ医療ドラマ主義宣言!」 第16回】

『ブラックペアン』過剰で疑問だらけの医療設定 もっと二宮和也の切れた台詞が欲しい!

どうして小春ちゃんには輸血ができなかったのか?

 今回はいろいろな難しい疾患名が出てきました。

 まず「感染性心内膜炎」。臨床の現場でも案外多い疾患で、不明熱の代表疾患です。基本は心臓弁膜症といって弁の異常があると、その弁の周りの血の流れが乱れ、菌が付着しやすい状態になるために発症します。

 われわれは歯を磨くたびに血液に菌が入っているともいわれています。普通の身体ならそれくらいのことで体調を崩したりはしないのですが、抵抗力が落ちているなど色々は条件が揃ってしまい、さらに弁に異常や損傷があることによって、感染性心内膜炎を発症してしまうことがあるのです。

 治療は抗生剤の点滴を行いますが、今回のケースは菌による弁破壊が起きて、急性MR(僧帽弁閉鎖不全)になったことで緊急手術の対象になってしまった、ということです。

 そしてスナイプ手術の難しかった女の子(小春ちゃん)は、不規則抗体を持っているために輸血ができないので、出血させられないとのことでした。

 不規則抗体とは、赤血球に対する抗体のうち、ABO式血液型の抗A抗体、抗B抗体以外の抗体のことで、何種類か存在します。

 抗A・抗B抗体は人が生まれながらに持っている血液型を決めるもので、A型の人は抗B抗体を持っていて、B型の人は抗A抗体、AB型の人はどちらもなし、O型はどちらも持っている、といったわけです。

 不規則抗体は生まれつき持っている人もいますが、後天的に輸血や妊娠を契機に発生することもあり、不規則抗体ができる人に輸血をすると、赤血球が壊れる(溶血)ことで様々な症状を引き起こします。

 ドラマでは凝固機能という血が止まる機能を徹底的に調べろ!と言っていましたが、実際は溶血なので、出血のトラブルとは無関係。凝固機能はあまり関係ないような?劇中でそんなことをこまこまと説明することは難しかったのかな~?

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