事業所の7割は助成金頼り
もともと岡山県は、精神障害者の就労に関して、古くからあった「職親制度」や「精神障害者社会適応訓練事業(社適)」などの制度の下、かなり進んでいた地域だった。
これらは国からの助成金が乏しい時代から続いていた。しかし、助成金が支給されるようになると「それなら……」といい加減な業者も参入してきたという。
前出の岡山の事業所が立ちゆかなくなった背景には、運営が不適切な場合は、厚生労働省が指定の取り消しをすることも視野に入れ、運営状況の監督を強化してきたことがある。
就労継続支援A型事業所は全国に3000カ所以上ある。そのうちの7割は、事業活動の利益だけでは利用者の賃金をまかなえず、助成金頼りの運営になっているのが実態だ。
適切なサポートによって、障害者でも利益の出る商品やサービスを生み出すことができるはず。だが、現実にはうまくいかないところが多い――。
ある程度の助成金頼りは仕方がないのかもしれないが、福祉とビジネスはどのようにすれば両立できるのか? 障害者の通所施設にも経営努力が求められている。
(文=里中高志)