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【インタビュー「内村航平選手を影で支える名トレーナー」今井聖晃(体操競技全日本トレーナー)】

体操・内村航平選手を支えてきた凄腕トレーナーが教える健康法と疲労回復のコツ

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体操・内村航平選手のオリンピック連覇は今井トレーナーの存在が大きかった(写真は内村航平選手の公式HPより)

 北京、ロンドン、リオデジャネイロのオリンピック3大会で7つのメダルを獲得し、個人総合2連覇を果たした体操の内村航平選手――。体操の種目別ワールドカップ・カタール・ドーハ大会(3月21日~24日)では、左足首負傷で途中棄権となった昨年10月の世界選手権以来、久しぶりに実戦に復帰した。

 残念ながら4種目すべてで予選落ちという結果だったが、全日本体操個人総合選手権(4月27日~29日)にむけて調整が続いているという。

 そんな内村選手を陰で支える名トレーナーがいる。今井聖晃さんだ。森泉貴博コーチと同様、「その存在なくして、自分の体操は成り立たない」と内村選手に言わしめた名トレーナーに、疲労回復の秘訣やアスリートの能力を引き出すノウハウ、そして、アスリートではない人でも心がけたい健康法などについて伺った。

25年間、体操一筋のトレーナーが誕生するまで

 今井トレーナーが今の仕事に就くきっかけは、針灸マッサージの専門学校に通っていた3年生の時、先輩から「日体大のトレーナーをやらないか」と誘われたことだった。トレーナーの勉強は、それまで一切したことがなく、テーピングの巻き方も知らない。いきなり現場に行かされ、そこで経験を積みながら、仕事の手順やノウハウを身につけていった。

 「全部、自分で覚えていったんです。そこから25年間、体操一筋です」と今井トレーナーは懐かしそうに話す。

 25年前は、まだ体操選手にトレーナーが付くこと自体が珍しかった。当時は体操の世界全体を見回しても全国で3人しかいなかったという。そのため「現場に行ったら逆に煙たがられました。まだトレーナーの役割が重要視されていなかったんですね。ですから、トレーナーというよりマッサージをする人という感じだったんでしょうね」と話す。

 しかし、体操の経験が全くなかったため、最初は「選手が何を言っているかすらわからなかった」という。「これじゃいかんと思って、日体大の練習場に通って選手をより深く見るようにしたんです」と述懐する。

 治療家としてもまだ半人前。何もわからないし、手本にするものもなかった。そのため、選手の要望を聞くところから始めた。選手の体についても、海パン一丁の選手の体を実際に見ることで覚えていったという。

 「そもそも体操選手は、皮下脂肪が少なく筋肉も表面に出ているので、『これが上腕二頭筋か』とか実際に目にすることができたので、とても勉強しやすかった。また、体操選手はリンパ腺の裏が赤いラインが出るくらい炎症したりするので、その炎症のルートも実際に選手の体を見ることで理解できたんです」

アスリートと接する上で大切なのは、やはりコミュニケーション

 そんな手探りの状態から、日本を代表するトレーナーにのぼりつめ、コーチと二人三脚で選手の成績を上げることに尽力する今井トレーナー。選手やコーチと接する上で大切なのは、やっぱり「コミュニケーションをとること」だという。

 現場での3者のやり取りについて訊くと「選手の体について、コーチはあまり詳しくないので、この練習によってどれくらい選手の体に負荷が掛かっているのか、コーチが僕に訊いてくることもあります。そういう会話を大切にしています。逆に、選手がトレーナーの僕にしか言わないようなこともあって、そういうことをコーチに伝えるのも重要な役割です」と説明する。

 今井トレーナーは、選手自身にコンディションを尋ねたりもしない。というのも「練習の入り方を見れば『今日は体が重いな、軽いな』ってわかるんです。内村航平選手は、10年近く毎日のように見ているので、自然とわかるんですよ。彼の表情だとか、そういうものを見ているだけでもわかります」と話す。

 「彼の場合は、何かあれば自分から言ってくるタイプです。『平行棒をやった後に肩が痛かった』とか『こうすると痛い』とか。また、練習中に自分が『危ないな』って思った時に声をかけても本人が『大丈夫だ』と言う時は、ほぼ大丈夫なんです。向こうから言ってくる時が危ない。黄色よりも赤に近い信号です」

 接している選手は一般人でなく世界のトップアスリート。選手のほうも自分で判断できる力が備わっている。

 「本人も、どうしたらこうなるかわかっている。僕のほうも海外遠征とかに同行して一緒に生活をしているので、相手のことがよくわかる。食事管理もうるさく言わないですよ。言わなくても、何を食べたらいいのか、本人もわかっているので」と話してくた。

最先端医療やITも不要! 重力がフラットに感じる体のポイントを見ていく

 トレーナーの役割については「選手の疲労回復に務めるということも重要ですが、どちらかというと練習した翌日に動ける体にしてあげるのが、僕の役割。要するに、みんな体のどこかが痛いんですよ。痛いのをなんとかして解決して、いつものパフォーマンスを持続できるようにしてあげるのが、僕の仕事です」と説明する。

 選手を導く手段については、最先端医学やITの力を借りたりはしない。「いたってシンプルです。あまり器具を使ったりもしないです。僕のやり方は原始的。手だけを使う、僕だけの独特な方式なんです。指先を使って、全身の関節の動きや位置、筋肉の配置、腱を見ます、最近効果があると思っているのは特殊な繊維を使ったリカバリーウエアのメーカーが出しているクロスです。選手の身体を覆いながらマッサージすると、指が深いところまで届く感じがしています」と独自のスタイルを説明する。

 その際に重要なことは何か?

 「地球上で生活している限り、身体には重力がかかっています。重力は、年齢や性別、体型に関係なく、どの人にも平等に1Gかかっています。そのGがフラットに感じるポイントを、基本的に見ていきます」

 また、人間の背骨は「S字型」になっている。後頭部から首にかけての移行部、さらには頸椎から胸椎にかけての移行部のカーブを見ることでも、選手の状態がわかるという。

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