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【シリーズ「DNA鑑定秘話」第61回】

「科捜研の女」放送200回 科学捜査に信念とプライドを燃やす沢口靖子の怪演


マリコが活躍している科捜研の仕事は何だろう?

「科捜研」を調べてみよう。

 警視庁(東京都)と道府県警察本部刑事部に設置される科学捜査研究所(科捜研)は、警察庁科学警察研究所(科警研)と連携しつつ、科学捜査の研究と鑑定業務に携わり、科学捜査を底辺から支えている。科警研は警察庁の附属機関、科捜研は警視庁と道府県警察本部の付属機関だ。

 マリコの働く京都府警科学捜査研究所(科捜研)もそうだが、研究員は10~70人程度で大所帯は少ない。

 研究員は警察行政職員。警察官でないので、捜査権はない。それぞれの専門知識や技術を応用し、犯罪現場から採取した血液などを検査したり、鑑識技術を向上するための研究開発を行う。

 科捜研が取り組む研究と鑑定業務は、法医学(生物科学)から心理学、文書、物理学(工学)、化学まで守備範囲が広い。それぞれの研究と鑑定業務は最先端の科学技術を投入し、大学や企業などの研究機関、科警研、国内学会、国際学会と連携・協力しながら進められる。

現場の血痕のルミノール反応からホシが割れる!

 まず、マリコが担当する法医学(生物科学)分野。犯罪現場に残された血液・体液・毛髪・骨・組織などの検体を分子生物学・生化学・遺伝子工学・生物工学などの検査手法を駆使し、血液型検査やDNA型鑑定を行う。

 マリコが犯罪現場でルミノール反応を進めるシーンがよくある。容疑者が逃亡後に現場に残した血痕からルミノール反応を調べ、血液のDNA型鑑定をすれば、真犯人が特定できるからだ。

 血痕の色は時間の経過とともに褐色から黄色と退色するため、目視で判断できない。だが、ルミノールに過酸化水素水を加えると、青白く発光するルミノール反応を起こすため、微量の血液でも検出できるのだ。
 
 かつて足利事件や飯塚事件では、低精度のDNA鑑定によって重大な冤罪悲劇を引き起こした。その反省に立ち、2010年に警察庁はおよそ30億円を投入し、47都道府県の科捜研に最先端のDNA型解析ソフト「ジェネティックアナライザー(DNA抽出機器)」を稼働させた。

 以来、DNA鑑定の精度は、一致率(本人特定率)4兆7000億人に1人という高水準にまで向上している。

 裁判員制度の発足後は、物証の重要性がますます増しているため、法医学分野の鑑定委託件数は右肩上がりに急増している。だが、鑑定人は高度な熟練と技術が求められるので、マリコのようなエキスパートの育成には長い時間と膨大な費用が必要になる。

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