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禁煙ポスターは若者には逆効果? タバコへの渇望を抑える方法

「禁止されるほど摂取したくなる」のが依存性物質

 今回の調査では、「喫煙の危険性を喚起するはずのポスター」が、かえって「喫煙に対する欲求を促進してしまう可能性がある」ことが示された形になった――。

 タバコは大人が使用する限りでは合法ではあるが、精神疾患の診断基準「DSM-5」でも「タバコ関連障害群」が「物質関連障害および嗜癖性症候群」のなかに分類されている、れっきとした依存性物質である。

 「DSM-5」の「タバコ使用障害」の診断基準のなかには、次のような項目が含まれている。

 「タバコの使用のために、重要な社会的、職業的、または娯楽的活動を放棄、または縮小している」「身体的に危険な状況においてもタバコの使用を反復する」「身体的または精神的問題が、持続的または反復的に起こり、悪化していることを知っているにもかかわらず、タバコの使用を続ける」など。

 タバコへの欲求は強烈であり、一度依存状態に入ると簡単にやめられる代物ではないのだ。

 その点を踏まえて考えると、今回の調査結果の対象となった「喫煙リスクの高い若者たち」は、もともと喫煙への欲求を持っていたがために、喫煙を禁じるポスターでかえって「欲求を刺激」された可能性もある。

覚醒剤などの禁止薬物も同じ?

 覚醒剤などの禁止薬物の場合においても、法律で厳しく禁じられていることが、かえってそれへの欲求や使用時の興奮を促進しているのではないか、という見方がある。禁止されればされるほどやってみたくなるというわけだ。

 また、覚醒剤をめぐる事件が発生すると、それを報じるテレビ番組ではよく注射器や粉などのイメージ画像が使われるが、これらの画像が覚醒剤をやめようと努力している依存症患者の欲求を刺激してしまっているという話もある。危険性を喚起するはずの画像が、かえって欲求を喚起してしまうという点では、今回の調査結果と同じだ。

 東京都では飲食店などの屋内を原則禁煙とする受動喫煙防止条例案が2月開会の都議会で提出される予定になっているなど、日本でも禁煙への流れは今後ますます加速していくことが予測される。

 しかし、喫煙者の喫煙への欲求はそう簡単になくなるものではない。どのような手段でタバコへの欲求を減らしていけばいいのか、今回の調査結果も踏まえて、慎重に検討していく必要がある。
(文=編集部)

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