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【シリーズ「クスリのリスク」 第3回】

イボコロリは効果がある?魚の目やタコにも使える?

噂の真実①:ホクロは消せるか?

 ホクロは大きく分けて「単純黒子」と「色素性母斑」に分けられます。色素性母斑はイボのように盛り上がり大きくなることが多いので、イボと同じように取れるのではないかと考える人も少なくありません。

 しかし、ホクロとイボは全くの別物で悪性メラノーマ(皮膚がん)の可能性もあるため素人判断で取り除いて良いものではありません。

 過去にお客様で実践された方がおられましたが、ホクロにイボコロリを塗布すると、多少の熱感があるそうです。その後、炎症を起こしてしまい皮膚科を受診し、シミができてホクロよりも目立ってしまったと見せて頂いたことがあります。皮膚の薄い場所かどうかにかかわらず、イボコロリをホクロに使うのはNGです。

噂の真実②:シミは消せるのか?

 イボコロリの有効成分「サリチル酸」はケミカルピーリングにも使われている成分なため、シミにも使えるのではないかと思うかもしれません。実際、ケミカルピーリングの1つサリチル酸マクロゴールピーリングは、皮膚を溶かし、角質ごとシミを剥がすというものです。

 しかし、美容皮膚科で使われている薬剤とは濃度が異なり、アプローチ方法も異なるため、安易にイボコロリをシミに塗るべきではありません。イボコロリを塗ったことで、一層ひどい色素沈着や炎症を起こす可能性があります。イボコロリをシミに使うということはNGです。

噂の真実③:ニキビは治るのか?

 イボコロリの有効成分「サリチル酸」は、プロアクティブやアクネコントロールなどのニキビケア化粧品に配合されているため、一見すると効果があるように感じるかもしれません。サリチル酸には、毛穴のつまりや角質を溶かして取る作用とニキビの原因菌アクネ菌の繁殖を抑える抗菌作用があります。

 しかし、ニキビケア化粧品に配合されているものとは濃度が全く違い、イボコロリをニキビにつけるということは刺激が強すぎます。ニキビは、肌が乾燥することでできやすくなるもの。低濃度のニキビケア化粧品でさえ、乾燥肌・敏感肌・大人ニキビには逆効果だったりします。もしそのようなニキビにイボコロリを塗ったらニキビが悪化することは必然です。ニキビの種類にかかわらずイボコロリをニキビに使うということはNGです。

 イボコロリの注意書きには「本剤が健康な皮膚に付着すると、その部分も白く軟化し、痛んだりするので、患部の周りの皮膚につかないよう、よく注意して使用してください。もし、ついた場合にはすぐにふきとってください」と書かれています。

 そのような薬剤を、適応ヵ所以外に塗ることが、あなたにはできますか?
(文=水谷光佑)


水谷光佑(みずたに・こうすけ)
日本で登録販売者としてOTC医薬品販売に従事。その後、視点を人から動物へ移し、動物医療の勉強のためオーストラリアに留学。現在も、新米登録販売者の相談をオンラインで受け付け、人材育成に従事している。

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