血液型で病気になりやすさが違う?(depositphotos.com)
微小粒子状物質(PM2.5)による大気汚染は、冠動脈疾患(CAD)患者が急性心筋梗塞などの急性冠症候群(ACS)を発症するリスクを高めると報告されている。このリスクが特に高い血液型が米インターマウンテン医療センター心臓研究所のBenjamin Horne氏らによる研究で明らかになり、米国心臓協会年次集会(AHA、11月11~15日、米アナハイム)で結果が発表された。
冠動脈疾患とは、心筋への血液供給が部分的にまたは完全に遮断される病気。
動脈硬化による内膜の肥厚性病変をプラークと呼ぶが、急性冠動脈症候群といわれる心筋梗塞などは、冠動脈でこのプラークが破裂し、そこに血栓が形成されることによって急に血管の閉塞が起きる。さらに血栓閉塞が持続すると心筋が壊死して急性心筋梗塞を発症する
この研究では、O型以外の血液型のCAD患者ではPM2.5への曝露量が増えるとACSリスクが高まることが示されたという。
Horne氏らは今回、1993~2007年に冠動脈に1カ所以上の狭窄があり、ACSを発症して同センターを受診したCAD患者1,285人(平均年齢53歳、女性27%)のデータを用い、ABO式血液型ごとの受診時のPM2.5への曝露レベルとACS(急性心筋梗塞または不安定狭心症)発症リスクとの関連について検討した。
その結果、対象となった全患者ではPM2.5への曝露量が10μg/m3増えるごとにACSリスクが16%高まることが示された(オッズ比1.16、95%信頼区間1.04~1.30)。また、血液型別ではO型以外の血液型の患者では同リスクが25%上昇(同1.25、1.07~1.45)していたのに対し、O型の患者では有意なリスク上昇は認められなかった(同1.10、0.92~1.32)。
Horne氏はニュースリリースで「CADがなければ大多数の人は心筋梗塞を起こすことはなく、また全てのCAD患者が心筋梗塞を発症するわけではない。さらに、心筋梗塞の発症にはさまざまな要因が関与しているため、大気汚染だけが原因で発症することはない」と説明。その上で、「今回の研究結果について大騒ぎする必要はないが、心に留めておく必要はあるかもしれない。患者はリスクを低減するために、大気汚染のひどい日には室内で過ごすなどの対策を取るとよいだろう」とアドバイスしている。
なお、学会発表された研究は医学誌に掲載される研究と異なり厳格な査読を受けていないため、予備的なものとみなす必要がある。