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【シリーズ「クスリのリスク」 第2回】

虫刺され薬の「ムヒS」と「液体ムヒS」には大きな違いが!ステロイド剤との正しい付き合い方とは?

「ステロイド剤は怖い」は大きな誤解

 ステロイド成分を塗る一番の意義は、「一気に治すことで、掻きむしりなどによる二次被害を防ぐこと」にあります。

 以前は、副作用を防ぐために「非ステロイド」や「Weakタイプ」のステロイドなど弱いものから始める「ステップアップ方式」が主流でした。しかしステップアップ方式は、「治らなかったらどんどん強くしていく」という方法のため、掻きむしることで症状を悪化させてしまうという欠点がありました。現在の主流はStrongタイプのステロイドの強いものから始め、一気に治し、場合によっては徐々にランクを下げるという「ステップダウン方式」です。

 ステロイド剤には局所的副作用として、細菌・真菌感染の誘発 、多毛 、皮膚萎縮 、毛細血管拡張などがあります。そのため「ステロイド剤は怖い」という偏った情報が一人歩きしていますが、用法用量をしっかり守っていれば、これらの症状はほとんど出ることはありません。むしろ小さい子供は、痒いとすぐに掻いてしまうため、副作用が出る確率より、なかなか治らず悪化してしまう確率のほうが高い傾向にあります。

 実は、虫刺されの症状を早く抑えるコツは、薬を塗るよりもまずは「掻かないこと」です。ただこれだけのことですが、虫刺されを掻かないというのは、子供であれ大人であれ、かなり難易度が高いですよね。

 ムヒSと液体ムヒSの使い分けを敢えて言うと――、抗ヒスタミン成分配合の「ムヒS」は、虫に刺されて患部の腫れが軽傷で、痒みも酷くない場合、ステロイド成分配合の「液体ムヒS」は、患部の腫れや痒みが酷い場合です。来年の夏、CMを見るたびにこれらを思い出してみてください。

シリーズ「クスリのリスク」バックナンバー

水谷光佑(みずたに・こうすけ)
日本で登録販売者としてOTC医薬品販売に従事。その後、視点を人から動物へ移し、動物医療の勉強のためオーストラリアに留学。現在も、新米登録販売者の相談をオンラインで受け付け、人材育成に従事している。

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