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【シリーズ「クスリのリスク」 第2回】

虫刺され薬の「ムヒS」と「液体ムヒS」には大きな違いが!ステロイド剤との正しい付き合い方とは?

虫刺されに効く「ムヒS」と「液体ムヒS」には大きな違いが!ステロイド剤との正しい付き合い方の画像1

「ムヒS」と「液体ムヒS」には大きな違いが(画像は池田模範堂のHPより)

 夏に最も家庭で大活躍した薬、それは虫刺され薬ではなかったでしょうか? 虫に刺された時の薬といえば、誰もが初めに頭によぎるのは「ムヒ(muhi)」(池田模範堂)だと思います。

 突然ですが、「ムヒS」と「液体ムヒS」の違いってご存知でしょうか?

 「そんなの知ってる」という方もいると思いますが、筆者が店頭で薬の相談を受けていた当時、その違いは「クリーム剤か液体剤かだけ」だと誤解していたお客さまが多くいたのも事実です。

「ムヒS」と「液体ムヒS」には大きな違いがある

 それぞれの配合成分を見てみましょう。添付文書には以下のように記されています。

●ムヒS:ジフェンヒドラミン1.0g、グリチルレチン酸0.3g、l-メントール5.0g、dl-カンフル1.0g、イソプロピルメチルフェノール0.1g

●液体ムヒS:デキサメタゾン酢酸エステル25mg、ジフェンヒドラミン2.0g、l-メントール3.5g、dl-カンフル1.0g、グリチルレチン酸0.2g、イソプロピルメチリフェノール0.1g

 どちらのムヒにも「ジフェンヒドラミン塩酸塩」という「痒み」を抑える「抗ヒスタミン成分」、「炎症」を抑える「グリチルレチン酸」が配合されています。

 しかし大きな違いは、液体ムヒSには「デキサメタゾン酢酸エステル」という「Weak(弱い)ランク」の「ステロイド剤」が配合されている点です(編注:ステロイド剤のランクは「Ⅰ群:Strongest(最強)」「Ⅱ群:Very Strong(とても強い)」「Ⅲ群:Strong(強い)」「Ⅳ群:Medium(普通)」「Ⅴ群:Weak(弱い)」に分類される)。そのため、液体ムヒSには「してはいけないこと」が書かれているのに対し、ムヒSにはそれがありません。

ステロイド剤を使う上で気をつけることは?

 ステロイド剤を使う上で気をつけることは「期間」と「使う部位・範囲」です。

 ステロイド剤が配合されている薬には、「してはいけないこと」の欄に必ず「長期連用しないこと」と書かれています。この「長期」はステロイド剤のランクに左右されます。

 液体ムヒSの場合は、同じ部位に使用する場合は「顔面で2週間以内」「その他の部位で4週間以内」と書かれています。なぜ使う部位によって期間が違うのか? それは部位によって吸収率が違ってくるためです。

 「腕」の吸収率を「1」とした場合、「頭皮」は3.5倍、「額」は6.5倍、「頬」は13倍、「首」は6倍、「拳」は0.83倍、「脇」は3.6倍、「背中」は1.7倍、「陰部」は42倍、「足首」は0.42倍、「足の裏」は0.14倍とされています。よく虫に刺される「腕」と「額」を比較した場合、2週間、同じように使うと、約13倍も薬剤の吸収率が違ってくるということです。

 そもそも、ステロイド剤が配合されている虫刺され薬を使えば――ランクにもよりますが――、大抵は遅くとも1週間以内には治まるはずなので、2週間を超えても治らないということは一般用医薬品(OTC医薬品)の域を超えています。

 お子様にもステロイド剤を使っても良いかですが、目安(市販薬の場合)としては、生後6ヵ月〜1歳の乳児は「Weak」 、1〜7歳の幼児は「Medium」 、7〜15歳の小児と成人は「Strong」 です。生後6ヵ月未満は使用不可、妊婦または妊娠していると思われる人は、使用前に薬剤師または登録販売者に相談となっています。

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