「非ステロイド性抗炎症薬」は血圧上昇の危険も(depositphotos.com)
最近、ロキソニンなどの「一般的な鎮痛薬で関節炎患者の血圧が上昇する恐れがある」という論文が、『European Heart Journal』(8月28日オンライン版)に掲載されたほか、欧州心臓病学会(ESC2017、スペイン・バルセロナ)でも報告された。
この報告を要約すると、次のようになる――。
対象となったのは、心疾患をもつ患者と関節炎がある患者の合計444人。関節炎には、変形性関節症と関節リウマチの患者がいた。
これらの患者を「セレコキシブ」(100~200mgを1日2回)、「イブプロフェン」(600~800mgを1日3回)、「ナプロキセン」(375~500mgを1日2回)を投与する3グループ、さらにそれぞれにプラセボ(偽物の薬)のグループを加えてランダムに割り付けし、4カ月間の血圧値の変化を評価した。
ちなみにセレコキシブ、イブプロフェン、ナプロキセンは、鎮痛、解熱、抗炎症薬として用いられる非ステロイド性抗炎症薬 (NSAIDs)。一般的に入手しやすい市販薬だ。
研究の結果、4カ月後の収縮期血圧(SBP)の平均値は、セレコキシブでは0.3mmHg低下した一方、イブプロフェンでは3.7mmHg、ナプロキセンでは1.6mmHgも上昇した。
さらに追加の解析では、研究開始時に「正常な血圧」だったが、研究終了時に「新たに高血圧を発症」した患者の割合は、イブプロフェンで23.2%、ナプロキセンで19.0%、セレコキシブで10.3%だった。
いずれも「非ステロイド性抗炎症薬」を服用すると「血圧が上昇する危険性がある」――というのが示された。そして、関節炎患者が心血管疾患のリスクが上昇する一因に、このような薬を定期的に飲んでいることが影響していると考えられる。
この非ステロイド性抗炎症薬には、市販薬で人気の「ロキソニン(一般名:ロキソプロフェン)」も含まれる。