日本の男子高校生は平均4.1時間、女子高校生は7時間
White氏ら研究班は被験者48名の人選に際し、半数を「1日あたりの端末使用時間が平均5時間以上」のヘビーユーザー層に絞った。対する残り半数層はいうまでもなく、同「5時間未満」の一般(?)ユーザー層を抽出して比較検証を行なった。
ちなみに1213人の高校生を対象とした「デジタルアーツ」(2015年1月調べ)の集計によれば、「男子高校生の1日当たりの平均スマホ使用時間は4.1時間」、「女子高校生のほうが7時間」という大きな開きがあった。
ということは、そのまんま今回の研究の2班構成と同じではないか……。ここから先を、日本の女子高校生諸君は心して読むように。
注目の比較検証の結果だが、1日操作5時間超えのヘビーユーザー層の場合、それ未満の利用組に比べて理学的検査において「陽性」となる割合が高かった。前者の学生諸君は「自己評価」の質問票(首や肩、背中や肘、手首および手の疼痛、または不快感などを訊いた)上でも症状の自覚が高かった。
研究では手首部分の超音波検査や、手根管症候群かどうかを見分けるファレンテスト (Phalen maneuver)も行なわれた。結果、5時間超えのヘビーユーザー層では「正中神経の断面積が有意に大きい傾向」が読み取れ、「携帯機器の使用時間が長いほど手首および手の疼痛が強くて長時間続く特徴」も認められた。
6月21日の『Muscle and Nerve』(オンライン版)に掲載された今回の報告は、「スマホの使いすぎ」が原因で「手根管症候群」を発症することを証明するものではない。だが、この5時間以上/5時間未満の比較検証結果をふまえ、White氏らはこう結論付けている。
「携帯型端末特有の操作で必要とされるクリックやスワイプ、タップやスクロール、あるいはプレスといった指の動作が日常的にくり返されることによって、正中神経が膨張したり圧迫されたりするのではないかと考えられる」
背筋は伸ばし、手首も真っすぐに!
冒頭で「テキストサム損傷」という欧米語を紹介したが、うつ向いた姿勢のままでスマホを長時間操作することで(本来はカーブしているはずの)首が真っすぐに変形してしまうことを「ストレートネック」と呼ぶ。
その症状の大半の人が「猫背」だといわれ、頭痛や肩凝り、吐き気やめまい、手の痺れなどを訴える点も共通している。さらに悪化した場合、手の痛みばかりか脱力をも起こしかねず、階段が降りにくくなるなどの日常生活に支障をきたしする。
もし、シャツのボタンが上手く止められないなどの症状がみられたら要注意だ。
この首のストレート現象とは対照的に、手首のほうは「ストレート」を意識しようと前出・White氏は最後にこうアドバイスしている。
「手根管症候群リスクをできるだけ抑えるためには、携帯型端末類の操作時はできる限り、手首を真っすぐにしておくといい」
背筋は伸ばし、手首も真っすぐに! 今、これを読んでいる瞬間から自然と身に着けよう、スマホ操作の正しい姿勢の習慣を。
(文=編集部)