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【連載「暮らしとつながるサプリメント」第10回】

歯科医が「生活習慣病」などの予防医療の役目を担う~医療費削減の役割も!

無駄な医療費を削減するために歯科医ができること

 松尾会長によると、これまで国が目指してきた健康長寿における歯科の目標は「80歳になっても20本以上自分の歯を保とう」という「8020(ハチマルニイマル)運動」だったが、このメッセージはすでに行き渡っているので、これからは機能面に目を向けた新しい活動方針をスタートさせなければならないという。

 それが口腔機能に栄養や運動などの「生活管理を加味した疾病予防の複合メニューの開発」である。

 「歯科には他の診療科にはないいくつかのメリットがあります。一つは、クリーニングや矯正などの病気でない方も来院するということ、二つ目は、通院頻度が高く対面時間も長いので、生活習慣病の予兆を発見できるチャンスや予防のためのアドバイスをする機会があるということ、また食事や栄養についての指導を行いやすいということです」

 健康な歯を維持し、口腔機能を低下させないことが、食べることの機能を維持するだけでなく、さまざまな病気の予防とも関わり健康長寿をかなえる――。それを理解すれば、私たち患者も、もう少し積極的に歯科検診を受けるべきだと思うだろう。

 政府は今年の6月9日の臨時閣議で、国家経営の基本方針となる「骨太の方針」の「健康増進・予防の推進」において、「口腔の健康は全身の健康にもつながることから、生涯を通じた歯科健診の充実、入院患者や要介護者に対する口腔機能管理の推進など歯科保健医療の充実に取り組む」という文言を明記した。

 この方針に則って、今後、無駄な医療費を削減するために歯科医が力量を発揮してくれることを期待したい。


連載「暮らしとつながるサプリメント」バックナンバー

後藤典子(ごとう・のりこ)

ジャーナリスト、一般社団法人日本サプリメント協会理事長、農医連携ユニット理事
。同志社大学文学部卒業後、編集プロダクションを経てジャーナリストに。政治・経済評論をテーマにした取材・執筆を主軸としてきたが、サプリメントの取材をきっかけに市場の歪んだ情報の蔓延に義憤を感じ、生活者のための公正中立な情報の必要性を痛感。2001年、NPO日本サプリメント協会を発足、中立な情報機関として活動を始める。書籍の発刊や、新聞、雑誌、テレビ、ラジオなど、マスメディアにおいて執筆・評論・コメントを行うとともに、生活者や企業を対象とした講演活動を通じて、ヘルス・プロモーションの啓発に努める。現在、自己健康管理サイト「ヘルスデザイン」をプロデュースするとともに、
農と医をつないで健康と食の問題を検証するプロジェクト「農医連携ユニット」に関わるとともに、
「日本サプリメント協会」を通して生活者の健康リテラシーを向上させるための情報活動を行っている。

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