足首や趾のかたさが不調の原因に
体重のすべてがかかる足は、「歩く」という人間の優れた動作を支えている。我々が思っているよりも、足は酷使されている「器官」なのだ。
「足のトラブルの一例に<タコができる>ことがあります。これは、靴が合わないという原因のほかに、いちばん多いのは、足首や趾(あしゆび)がかたくなっていることが挙げられます」
「たとえば、丸いボールはスムーズに転がるが、サイコロはガタガタとぶつかりながら転がります。足首や趾がかたいとスムーズな歩行ができず、サイコロのように不自然な負荷が体にかかるのです。この状態が続くと、外反母趾や足のシビレなど不調などにつながることがあります」
そこで、日常で簡単にできる予防法を一つ教えてもらった。
「趾に手指を差し込んで前後に曲げ伸ばしたり、趾を握り込んだり、開いたり、<グー・パー>を行います。そして足首、アキレス腱のストレッチを行うこと。特にヒールの靴を履いている時間が長い女性は、アキレス腱が縮んだ状態が続き、かたくなっています。入浴後にでも足、趾の状況をチェックする習慣をつけるといいですね」
足のタコや痛み、シビレなどの根本を改善しなければ、それを繰り返すことになる。菊池院長は「足のことで困ったら何でも気軽に相談してもらいたい」と締めくくった。
菊池守(きくち・まもる)
下北沢病院(東京都)院長。大阪大学医学部卒業後、香川大学医学部形成外科助手、大阪大学医学部形成外科助手を経て2011年からベルギー・ゲント大学、12年より米ジョージタウン大学留学。帰国後、佐賀大学医学部附属病院形成外科診療准教授などを経て、16年から現職。日本形成外科学会専門医、日本フットケア学会評議員、日本下肢救済・足病学会評議員。趣味はスノーボード。
下北沢病院 shimokitazawa-hp.or.jp
2016年に「足と糖尿病の専門病院」としてオープン。欧米の「ポダイアトリー(足病学)」の優れた点を取り入れ、診断から治療、手術、リハビリや栄養指導に至るまで、各分野の専門家が<足の健康>をトータルでサポートする。下北沢駅南口から徒歩5分。