「足」トラブルが健康寿命を縮める!?(depositphotos.com)
あなたは「足」にどれだけ注意を払って生活しているだろうか? 実はヒトの健康を大きく左右するのが「足」である。
ところが、足は<冷遇>されている――。
こう言うのは、下北沢病院(東京都)の菊池守院長。同院は2016年、日本初の「足の総合病院」として再スタートを切った。
欧米諸国では古くから足に対する健康意識が高く、「ポダイアトリー(足病学)」が発展してきた。その優れた点を取り入れ、診断から治療、手術、リハビリや栄養指導まで<足の健康>をトータルでサポートするのが下北沢病院の特徴だ。
菊池院長は「足のちょっとした痛みやトラブルは、日常の行動を控えさせ、生活の意欲にまで悪影響を及ぼす。ところが、多くの人はあまり足に関心を向けていない」と指摘する。
では、足の健康が体全体の健康にどう影響を及ぼすのだろうか?
「大きな影響は、足の変形や筋力の低下、関節の硬化などが進み、サルコペニアを招くことです。サルコペニアは高齢者のイメージですが、中高年から意識して予防することが大切です」
*サルコペニア:筋肉の減少による「加齢性体力低下症」とも呼ばれる。加齢によって骨格筋量が減少して筋力が低下し、身体機能も衰える。活動量が落ちることで生活習慣病になるリスクを上昇させる。
フットケア先進国では<足のことは足病医>
足のトラブルは、タコや巻き爪、皮膚の角質の変化、足のシビレに始まることが多い。
「タコや角質の変化などが起きるのは、不自然な<負荷>が足にかかっているからです。<できたタコがカラダを守っている>というイメージは誤り。靴や歩き方に何らかの問題があると考えられます」(菊池院長)
日本人の多くは「足のトラブルは病気ではない」という認識だ。ところが、日常を靴で過ごす欧米では、足の病気や異常に対する医療が古くから整備されている。
米ジョージタウン大学創傷治療センターでフットケアを学んだ菊池院長は、アメリカのフットケア事情をこう話す。
「アメリカでは、足専門の<足病医>の地位が確立し、日本の歯科医院のように多くの足病医のクリニックが点在します。足の創傷を治すには、足の構造などの専門的な知識がなければならない。<歯のことは歯医者>と同じように、フットケア先進国のアメリカでは、<足のことは足病医>という意識が一般的に定着しているのです」
それほど欧米では、足の健康に関心が高いのだ。