「骨粗鬆症は女性の病気」と思われがちだが……
今回の研究でも明らかなように、発症は圧倒的に女性が多い。特に閉経による女性ホルモン分泌の減少が大きく関係しているといわれる。女性ホルモンは、骨の中のカルシウムが血液中に溶け出すことを抑制しているが、閉経でこの働きが弱まり骨密度などが急速に低下するためだ。
そのため、「骨粗鬆症は女性の病気」と思われがちだが、男性も発症する。骨粗鬆症の男女差に関する研究はさまざまなものがあり、東京都健康長寿医療センターの森聖二郎氏は、「男性骨粗鬆症」について、次のように指摘している(「基礎老化研究」34(3);13崖17,2010)。
「男性では、骨粗鬆症の罹患率ならびに骨折発生率は、女性の約3分の1と推計される。しかし、骨折後の死亡リスクの上昇ならびに生活障害の度合いは、男性が女性より深刻である」
そして、「男性が女性に比較して骨折後の死亡リスクの上昇がより大きいという理由は、現時点では不明と言わざるを得ない」としながらも、男性骨粗鬆症については、以下のように言及している。
「今までは閉経後骨粗鬆症の陰に埋もれて、医師からも患者からもあまり注目されてこなかった領域であるが、高齢者人口の増加とともに、その患者数は確実に増加しつつある。男性は女性に比較して骨折後の死亡リスクの上昇がより大きいことから、今後、男性骨粗鬆症は高齢者医療において重要なテーマになると思われる」
骨粗鬆症に関する男女差の解明は、今後の大きなテーマだ。そして当然ながら、性別による治療法の確立が、もっともわれわれの生活に直結してくる。
(文=編集部)