1980年代以降に飛躍的な進化を続ける、さまざまなDNA鑑定法
1981年に考案された「DNAポリメラーゼ連鎖法(PCR法)」以来、さまざまなDNA鑑定法が開発されている。
「STR法」は、遺伝子のローカス(遺伝子座)の中にある数塩基~10塩基未満の短いDNAが繰り返す配列数(ショートタンデムリピート:短鎖縦列反復配列)を調べる解析法。
「MLP法」は、DNAに多数存在しているバーコードのようなミニサテライト(VNTR)を検出する個人識別法。「DNAバーコード法」、「DNA指紋法」とも呼ばれる。
「SLP法」は、MLP法がDNAの多くのローカス(遺伝子座)の情報を一度に調べるのに対して、1箇所のローカスの情報を調べる手法。
「ミトコンドリアDNA法」は、細胞核の外側に大量にあるミトコンドリアDNA(mtDNA)を調べる解析法だ。この解析法は、塩基列差が大きく個人識別が簡単にできる、DNAサイズが小さいため生存率が高い、細胞当たりの量が多いため回収できるDNAが多い、しかも、mtDNAは母系遺伝することから、母子鑑定に有効というメリットがある。
「Y染色体STR法」は、男性にしか受け継がれないY染色体のDNAを調べて、父系血族を特定する解析法だ。
このように、DNAの塩基配列には個人差があるので、劣化した古代人の骨にわずかに残されたmtDNAやY染色体などを詳しく分析すれば、人種、性別、年齢、髪や目の色、出生地などを特定できる可能性があるのだ。
2000年余の時空を超えて、古代人の生きざまや息づかいまでもが解明されるかもしれない。
佐藤博(さとう・ひろし)
大阪生まれ・育ちのジャーナリスト、プランナー、コピーライター、ルポライター、コラムニスト、翻訳者。同志社大学法学部法律学科卒業後、広告エージェンシー、広告企画プロダクションに勤務。1983年にダジュール・コーポレーションを設立。マーケティング・広告・出版・編集・広報に軸足をおき、起業家、経営者、各界の著名人、市井の市民をインタビューしながら、全国で取材活動中。医療従事者、セラピストなどの取材、エビデンスに基づいたデータ・学術論文の調査・研究・翻訳にも積極的に携わっている。