「薄毛は恥」が、さらにハゲを加速?
ただし、唾液中コルチゾール濃度はストレスの有無(強度)を調べる手法として一般的ではあるものの、一日のうちや日による変動も大きい。安定した測定が難しいという課題があった。
そこで、過去の研究からストレスの指標になることが判明している「血清尿酸値」を使って、再び毛髪との関係を調べた。
その結果、血清尿酸値が高い人ほど後頭部の毛髪における毛穴あたりの毛髪の本数が少なかった。また、血清尿酸値が高い群では、頭皮が硬いことも明らかになった。
この結果は、今年の日本美容外科学会と国際化粧品技術者会(IFSCC)オーランド大会で発表されるという。
明らかになったのは、「ストレス指標の高い人ほど頭皮が硬く、後頭部の毛が細くて少ない傾向がある」こと。やはり薄毛を防ぐにはストレスを貯め込まず、適度に発散し、マッサージなどで頭皮を軟らかく保つことが大切だ。
ここで気になるのは、「薄毛の悩み」そのものが本人にとって強いストレスになっていないかということだ。世界的に見ても、日本人男性はハゲを「恥」と感じ、周りの誰にも相談できずに悩み、ひたすら隠そうとする傾向が強い。
女性の目もある。エイジングケア商品を展開するアンファー株式会社のアンケートによると、「妻がついチェックしてしまう夫のパーツ」は「髪・ヘアスタイル」が57.0%でダントツの1位。
また夫に対して「薄毛予防・薄毛対策を考えてほしい」と答えた妻は26.6%となり、4人に1人の割合だった。
半面、女性は男性が思うほど薄毛を気にしていないというデータもある。女性500人(10~50代)を対象としたある調査では、7割もの人が「ハゲの男性も恋愛対象になる」と回答している。
近年では、海外セレブのみならず、日本でも薄毛を個性とする有名人も増えた。また、スティーブ・ジョブスや孫正義など、自信に溢れた成功者のスタイルは、「薄毛でも格好いい」という風潮だ。日本男性の価値観も少しずつ変わってきている。
「薄毛を気にしない」と開き直ってポジティブに生きることこそが、ストレスを遠ざけ、何より有効な薄毛対策になるのかもしれない。
(文=編集部)