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米国で「抗菌石鹸」が発売禁止! 抗菌どころか抗生物質が効かない「耐性菌」を増殖拡散

細菌の耐性獲得に寄与しているのではないか?

 もっとも当局の英断を促したのは、「効果の有意性」よりも、やはり「健康リスク」への懸念が決定打だったようだ。

 具体的には、抗菌石鹸の効果がむしろ「細菌の耐性獲得に寄与しているのではないか?」という疑いが強まった点が、「販売禁止」の結論を導いたというわけだ。

 米国疾病管理予防センター(CDC)の集計では、全米で年間200万人以上が「抗生物質耐性菌」に感染しており、うち2万3000人超が死亡している。

 一方、最近の研究によれば、抗菌成分の長期的な使用にともない哺乳類の甲状腺やホルモン系(エストロゲンやテストステロンなど)に悪影響がおよぶ可能性が示唆されている。

 こうした負の示唆に対し、どのメーカーも自社製品効果の有意性や、細菌の拡散疑惑に反証できなかったわけだから「撤退」は致し方ないだろう。FDAの推定によれば、今回の思い切った措置によって抗菌成分への米国人の曝露量がじつに年間220万ポンド(100万kg)は低減する公算だ。

 ただし、規制の対象外もぜひ覚えておきたいもの。それは主にアルコールを有効成分としている抗菌ジェルやウェットティッシュなどの身近な製品もそうだし、医療機関で使用されている消毒薬も規制外である。

 とりわけ、石鹸も水も使用できない状況下では、「60%以上のアルコールをベースとした除菌剤を使用」するようCDCは推奨している。

 また、塩化ベンザルコニウムや塩化ベンゼトニウム、クロロキシレノールの3成分に関しては「禁止措置」を1年間延期して、その間にメーカー側からの追加データを求めていく方針が取られるという。

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