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【インタビュー「職場でのうつ病の再発を防ぐ」秋山剛医師(NTT東日本関東病院精神神経科部長)第2回】

「新型うつ」はどう治す?~心理的な背景にある〈偏り〉の改善がカギに

発達障害による<生きづらさ>によるうつの治療法

──職場でうまくいかない原因が発達障害にある場合、「リワーク」で治すことは可能ですか?

 発達障害は、厚生労働省「みんなのメンタルヘルス」では、以下のように説明されています。

 <発達障害とは生まれつきの特性で、「病気」とは異なります。発達障害はいくつかのタイプに分類されており、自閉症、アスペルガー症候群、注意欠如・多動性障害、学習障害、チック障害などが含まれます。これらは、生まれつき脳の一部の機能に障害があるという点が共通しています。>

 <同じ人に、いくつかのタイプの発達障害があることも珍しくなく、そのため、同じ障害がある人同士でもまったく似ていないように見えることがあります。個人差がとても大きいという点が、「発達障害」の特徴といえるかもしれません。>

 発達障害の傾向がある人は、「落ち着きがない」「空気がよめない」「あいさつもしない」などと思われることが多いようです。そのような人が仕事を始めると、対人関係などで困難をきたし、うつとか不安といった症状が起きることがあります。

 そのため仕事を休職し、リワークプログラムに入ってきます。こういった方をリワークプログラムで支援することは可能です。リワークプログラムスタッフのための手引きも作成しています。

 発達障害の人の場合は、得意、不得意の差が大きい傾向がありますので、確認する必要があります。また、対人関係についても、自分が相手のどのような影響を与えているか、よく理解できていない場合があります。

 リワークプログラムでは、ほかにメンバーやスタッフがいるので、対人関係の特徴はすぐに分かります。そして、把握された特徴について、支援をしていきます。

──では、原因が発達障害に関連しない、先ほどの「新型うつ」は、どのように治療すべきでしょうか?

 「新型うつ」は、一つの病気ではないと思います。背景に、双極性スペクトラム、性格の偏りなど、なんらかの心理的背景があると思います。経過をきちんと確認し、必要な心理検査を行なうことが大切です。
 
 心理検査によって何かの偏りが確認されたら、患者さんができることを一緒に考え努力してもらい、必要であれば周囲にアドバイスしたりします。

 抗うつ薬は、従来型のうつ病を目標に開発されているので、新型うつにはあまり効かないと思います。心理的な背景を確認し、確認された偏りを改善するために工夫することが、治療の基本だと思います。
(取材・文=里中高志)


秋山剛(あきやま・つよし)
NTT東日本関東病院精神神経科部長。うつ病リワーク研究会世話人。東京大学医学部卒業。同大学医学部附属病院分院神経科を経て現職。東京大学精神科非常勤講師などを兼任。専門はうつ病の人の復職支援など。監修書に『うつ病リワークプログラムのはじめかた』(弘文堂)、『うつ病の人の職場復帰を成功させる本』(講談社)などがある。

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