「飲んだら乘るな、乘るなら飲むな」が世界基準(shutterstock.com)
今から2年前の7月、北海道小樽市で4人の女性が死傷した「飲酒ひき逃げ事件」を憶えている方も多いことだろう。自動車運転処罰法違反(危険運転致死傷)に問われた元飲食店従業員の被告に対し、昨年末、札幌高裁が下した判決は、一審を支持しての懲役22年だった。
北海道では同じ悲劇がくり返されないよう、事件発生の7月13日を「飲酒運転根絶の日」と条例で定め、先日、決起大会も催された。だが、登壇した道警本部長の口から公表された道内の、今年の飲酒運転による交通死亡者数は当日時点で前年同期比1人増の9人……。
また、道職員や道警の警察官による飲酒運転が相次いだ事態に、知事と同本部長がそれぞれ陳謝するという有様だった。
北欧の規律正しさが話題を呼ぶ
そんなニュースを読んで思い出したのが、昨年6月、改正の内容が賛否を呼んだデンマークの新交通制度である。国内での飲酒運転が警察に見つかった場合、運転免許の取り下げだけでは済まされず、当該車も没収という厳しさが加わった。
その新制度に同感する向きが「大歓迎!」と評価する点はこうだ――。その場で没収された車は程なくオークションで競売にかけられ、売り上げは国の財政に献上される。さらに違反者の罰金も、最低1カ月分の給与相当が没収される制度が設けられた。
背景には同国の場合、交通事故原因の25%が飲酒運転やドラッグ服用、ないしは医療薬の副作用によるもので占められている現実があるようだ。金持ちならば没収後も買い替える選択肢が残されるが、ドラッグ服用のドライバーの場合は永続的な没収が定められ、同法は外国人旅行者も例外下にない。
このデンマークの徹底ぶりについては、意見が分かれるところだろう。しかし、基準値上、どこからを「酒気帯び運転」と定義するかとなると、血中アルコール濃度0.3mg/ml以上(呼気中0.15mg/1以上)と道交法で定める日本は、デンマークよりもむしろ手厳しい。
酒気帯び運転の基準値ランキングを厳しい順から上げていくと、その首位は国民の半数以上がイスラム教徒のアルバニア(0.1mg/ml以上)、次いで酒害政策で悩んだ歴史を引きずるスウェーデン(0.2mg/ml以上)が2位。そして3位が上記基準値の日本なのだ。
4位のリトアニア(0.4ml/ml)までは0.1ずつの僅差で分かれるが、同一5位(0.5mg/ml以上)からは話題のデンマークをはじめフィンランドやオーストラリア、ドイツやフランス、タイやトルコ以外にも数か国が並び、世界の平均値を形成している。