ハサミが動かせない美容師、会話できない営業マン……
スポーツ以外でも、同様のことは起こる。ミュージシャンが、手が震えて演奏できなくなるということがある。こちらは「職業性ジストニア」と呼ばれる運動障害だ。
ミュージシャンだけでなく、ハサミが動かせなくなる美容師、会話できなくなる営業マン、キーが打てないプログラマーなど、さまざまな職業に存在する。
これまで通りの仕事ができなくなれば、死活問題だ。やっかいなことにイップスもジストニアも治療法が確立されていない。「メンタルの克服」しかないといわれている。
緊張をほぐす方法とは
イップスまで至らなくても、スポーツをしている時にプレッシャーを感じることはトップアスリートでなくても多々あるだろう。それによって純粋にスポーツを楽しむこともできなくなる。
そこで、試合中の緊張をほぐす方法を米国家庭医学会(AAFP)が発表しているので紹介しよう。
●静かな場所を見つけ、深呼吸。大きく息を吸い5秒間止めて吐き出す。これを繰り返す。
●筋肉を収縮させて5秒間維持したあと、脱力。緩める部位を変えながら、5回行う。
●落ち着ける光景を思い浮かべる。ストレスが体から出て行くところをイメージし、試合で成功する自分を想像する。
●ミスや失点のことを悩まず、前向きに考える。
これは、スポーツ以外にも応用が利きそうだ。日常のなかで緊張する場面において、参考にしてはいかがだろうか。
どのような局面でも、努力の積み重ねを花開かせるには、本番におけるプレッシャーとの上手な付き合い方も大きな要因であることは間違いない。
(文=編集部)