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【連載「頭痛の秘密がここまで解き明かされてきた」第10回】

頭痛薬「アセトアミノフェン」と「非ステロイド系抗炎症薬」が効くワケ

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頭痛の急性期の鎮痛薬とは?(shutterstock.com)

 今回は頭痛の機序と急性期の鎮痛薬についてお話ししたいと思います。頭痛も疼痛(痛み)の一種であると考えられます。疼痛はアメリカ疼痛学会で次のように定義されています――。痛みは「生体の警告系」として重要な役割であるが鎮痛処置が必要である。

 そこで頭痛のための鎮痛薬のなかで、ドラッグストアで買うことが多い「アセトアミノフェン」と「非ステロイド系抗炎症薬」について取り上げてみましょう。

「ノーシン」や「新セデス」などのアセトアミノフェン

 アセトアミノフェンは、小児や妊婦などにおいても安全に使用できる消炎鎮痛薬として有名です。作用機序は、視床下部の体温中枢に作用し、体水分の移動と末梢血管の拡張作用を持つことが知られています。現在はアセトアミノフェンとして1回300〜1000mg、最大1日4000mg (医療用)まで使用可能になりました。

 現在、ドラックストアで販売されている市販薬の頭痛薬の多くは、安全性を考えてアセトアミノフェンにエテンザミドとカフェインを加えたACE(エーシーイー)処方という組み合わせが有名です。この組み合わせの薬剤は、ノーシンや新セデスなどの名前でドラックストアで発売されています(ただし、ACE薬はエテンザミドとカフェインが配合されているため小児や妊婦には注意が必要です)。

図と表2.jpg

図1

 では、アセトアミノフェンはどこに作用して鎮痛効果を示すのでしょうか。現在の医学では、アセトアミノフェンは、脳の中枢神経に作用することが知られています。その場所は図1に示したように、視床下部の体温中枢に作用し、解熱作用を示したり、同じく中枢性に作用して体水分の移動と末梢血管の拡張作用を有しています。視床下部は間脳と呼ばれる脳組織の一部で、体温中枢の機能以外にも飲水行動や摂食行動を制御したり、多数のホルモンを分泌する器官として知られています。

西郷和真(さいごう・かずまさ)

近畿大学病院遺伝子診療部・脳神経内科 臨床教授、近畿大学総合理工学研究科遺伝カウンセラー養成課程 教授。1992年近畿大学医学部卒業。近畿大学病院、国立呉病院(現国立呉医療センター)、国立精神神経センター神経研究所、米国ユタ大学博士研究員(臨床遺伝学を研究)、ハワードヒューズ医学財団リサーチアソシエイトなどを経て、2003年より近畿大学神経内科学講師および大学院総合理工学研究科講師(兼任)。2015年より現職。東日本大震災後には、東北大学地域支援部門・非常勤講師として公立南三陸診療所での震災支援勤務も経験、
2023年より現職。日本認知症学会(専門医、指導医)、日本人類遺伝学会(臨床遺伝専門医、指導医)、日本神経学会(神経内科専門医、指導医)、日本頭痛学会(頭痛専門医、指導医、評議員)、日本抗加齢学会(抗加齢専門医)など幅広く活躍する。

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