攻撃性の背景には性格や癖ではない可能性が
Coccaro氏は「攻撃性の問題を抱える人は、単なる性格や本人の癖ではなく、なんらかの背景を持つ可能性がある。今回の研究でトキソプラズマ陽性の反応が認められた対象者は、怒り/攻撃性のスコアが有意に高かったのです」と語る。
成人358人を対象とした研究は、「①IED群」「②IED以外の精神疾患群」「③精神疾患のない対照群」の三派に分けられた。トキソプラズマ抗体陽性率の結果は、①群が22%、②群が16%、③群が9%。そして攻撃性・衝動性のスコアは、②が③と同程度だったのに比べ、①のIED群は他派よりもはるかに高い数値を現わした。
論文は「Journal of Clinical Psychiatry」3月23日号に掲載されたが、本研究は臨床試験ではないため、直接的な因果関係は明らかでない。また、Coccaro氏は「トキソプラズマ陽性の人が全員、攻撃性の問題を抱えているというわけでもありません」とも補足した。
トキソプラズマ症の予防法は?
間欠性爆発性障害は男性に多く、男性ホルモンとの関連性や、幼少期の家庭内の劣悪環境(親のアルコール依存症/虐待/暴力など)が関係するとも見られている。後者の経験が思い起こされたり、無力感や状況を変えられない感覚に襲われると、突然、爆発したりする。
原因となるトキソプラズマ症の予防法としては、調理時の肉は十分加熱し、野菜もよく洗うことを心がける。愛猫家として大いに気になる「猫の糞問題」については、屋内での飼育を優先し、糞には直接触れない注意が必要と専門家は助言する。
たかが糞、されど糞。愛しい猫対応の不注意で感染症まっしぐら……では、ニャンとも笑うに笑えない。
(文=編集部)