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【シリーズ「DNA鑑定秘話」第32回】

DNA鑑定秘話〜約3万年前、ネアンデルタール人が絶滅したのはなぜか?

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ネアンデルタール人が絶滅した理由は?(shutterstock.com)

 このシリーズDNA鑑定秘話第29回「現人類とセックスも!? ネアンデルタール人のDNAから人類の進化の謎を解く大発見!」では、ネアンデルタール人が絶滅した理由は「ホモ・サピエンスの人口が急増し、遺伝子の混合が何世代にもわたるにつれて、個体数が圧倒的に少なかったネアンデルタール人のDNAは、ホモ・サピエンスのDNAに吸収されたため、絶滅した」と推定している。

 一方、科学雑誌『 ナショナル ジオグラフィック日本版』(2008年10月号)は、やや異なる仮説を提示している――。

 1994年3月、スペイン北部ビスケー湾の南。人里離れた森にあるエル・シドロン洞窟を踏査していた探検家たちは、2個の人骨を発見する。この洞窟は、スペイン内戦のとき、人民戦線の兵士たちがフランコ軍の攻撃を逃れて隠れた場所だ。首都マドリードの科学捜査研究所が掘り出した約140個の人骨をDNA解析すると、人骨は約4万3000年前に洞窟周辺で暮らしていたネアンデルタール人の集団の化石骨と判明した。

 マドリードの国立自然科学博物館の学芸員アントニオ・ロサス氏らは、洞窟からネアンデルタール人9人の化石骨1500個の断片を発掘。頭部や腕の骨を叩き割ったり、石器で肉を削ぎ取った痕跡があったことから、骨の持ち主は人肉食の犠牲になったと推察した。

 ネアンデルタール人は、およそ20万年前にアフリカを出てユーラシア大陸に向かった。その生活圏は、ヨーロッパ全域から中東やアジアに及び、東はモンゴル、西は英国、南は地中海沿岸からジブラルタル海峡、ギリシャ、イラク、北はロシアまで達していた。人口は最大でも1万5000人程度と推定される。

 およそ10万年前にアフリカを出てユ−ラシア大陸に渡った現人類は、中東やその周辺エリアで先住民のネアンデルタール人と遭遇し、異種交配(性交渉)もしていたと考えられる。

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