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【春だ、歩こう! アンチエイジング・ウオーキング【前編】】

1日15分のウォーキングで寿命が3年延長! 座りっぱなしの「セデンタリー」は喫煙並みの悪影響

1日15分、ウオーキングすれば、寿命が3年延びる!

 たとえば、米国のシリコンバレーの企業では、立ったまま仕事ができるスタンディングデスクが流行している。日本のオフィスにも少しずつ浸透しつつある。あなたも、近々スタンディングデスクに向かってパソコンを叩いているかもしれない。

 坪田教授は「NEAT(Non Exercise Activity Thermogenesis)、つまり運動以外の日常での活動量が大切。きちんとした運動でなくても、歩く機会を増やし、セデンタリーの時間を減らすだけでも肥満を防げる。少なくとも1〜2時間に1回は席を立ち、手足を動かしてほしい」と勧める。

 信州大学大学院医学系研究科スポーツ医科学講座の能勢博教授によると、「肥満、高血圧、糖尿病などの生活習慣病、がん、うつ病、認知症のリスクがすべて運動によって低下する」と話す。台湾の国家衛生研究院が41万6175人を対象に行なった調査でも、1日15分の運動で大きな効果が期待できることを確認している。

 また、2011年10月に医学雑誌『ランセット』は、運動で寿命が延びる事実を医学的に示す実証研究を発表した。研究によれば、ウオーキングやジョギングなどの中程度の運動を毎日15分する人は、運動しない人に比べて病気による死亡率が14%減り、寿命が3年延びる。1日90分までは、運動時間が15分増えるごとに死亡率が4%ずつ減り、毎日90分運動する人は運動しない人に比べて死亡率が35%も低い。

 さらに、細胞中のミトコンドリアの研究によると、運動不足は身体の老化を早めることが分かった。ミトコンドリアは、酸素を使ってATP(アデノシン三リン酸)という細胞を動かすエネルギーを作り出す。だが、運動不足になれば、細胞内でATPが過剰になるため、ミトコンドリアは酸素と反応して活性酸素を発生させる。つまり、運動不足によってATPのニーズが減ると、ミトコンドリアの数も減り、質が悪くなる。その結果、老朽化したミトコンドリアは、多くの活性酸素を発生させ、身体の老化が早まる。

 一方、適度の運動をすると、ATPが効率よく消費され、ミトコンドリアの新陳代謝が活発になる。ジョギングやウオーキングなど有酸素運動によって、酸素の消費が多くなるため、ミトコンドリアの質が良くなり、活性酸素が大幅に減るのだ。

 いくら忙しい人でも、たとえば家から駅まで速歩きで8分なら、往復で1日16分は歩ける。通勤ウオーキングをする時は「運動しているぞ!」と強く意識すれば、効果が高まるという研究もある。どうしても運動する時間なければ、エレベーターを使わず、階段を登るだけでもいい。マンションなどの非常階段を上り下りすれば、股関節のトレーニングにも最適だ。少しでもできることから身体を動かしてみよう。
(文=編集部)

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