現役時代から覚せい剤疑惑が噂されていたが…
球界のみならず日本中に衝撃を与えた元プロ野球選手・清原和博の覚せい剤による逮捕劇。その後の報道で、彼の抱えていた薬物依存の深い闇が明らかになってきた。
2月1日に捜査員が自宅に踏み込んだときに、注射器とストローを持っていたという清原容疑者。所持していた覚せい剤は、群馬県まで車を運転して訪れ、入手していたことも判明した。
それにしても、2014年に『週刊文春』が覚せい剤疑惑を報じ、それ以来、警察がマークしていたことは自覚していたはず。破滅に至る道とわかっていながらも抜け出せなかった、その依存性はいかほどのものなのだろうか?
ホリエモンこと実業家の堀江貴文氏は7日、TBS系『サンデー・ジャポン』での出演時に次のようにコメントした。
「これもう(覚せい剤を)やめられないんじゃないですか、今回は執行猶予が付くと思うんですけど。たぶん再犯……覚せい剤ってやめない人が多くて……」。
さらに「(清原容疑者は)より悪くなる、ダークな人たちとの付き合い、その人たちがスポンサーになる。さらにその人たちの世界に行く。誰かが支えないと無理じゃないですか」と感想を述べた。
懲役刑に服した実体験をもつ堀江氏ならではの、説得力のあるコメントといえる。
薬物依存に陥るきっかけになる「HALT」とは?
果たして清原容疑者は、更生できるのか? 薬物依存に詳しい、メディカルケア虎ノ門の深間内文彦医師は、次のように解説する。
「一度、薬物依存に陥ると、脳の神経回路が変化してしまいます。一部の異常な状態が脳に刻み込まれているので、些細なきっかけで脳が反応して、薬物への欲求が再び高まります。芸能人やアーティスト、アスリートなどは『テンションを高めれば表現や創作活動、パフォーマンスが向上する』という思い込みから、薬物に手を出してしまうことがあります」
「また、現役を引退した人や最盛期を過ぎた人が、過去の栄光を忘れられない虚無感を埋めるために薬物に走ることもあるでしょう」
さらに深間内医師は、薬物依存に陥る「外的な要因」と「内的な要因」についても指摘する。
「薬をやりたくなる引き金には、外的なものと内的なものがあり、人によって違います。外的なものだと、一人でいるとき、車の中、クラブ遊び、セックス、お金があるとき、音楽を聴いているとき、お酒を飲んだとき、深夜や朝起きたとき、暇な時間、飲み仲間や薬仲間といるとき……。さまざまなものが引き金になります」
「内的な要因としては、不安、焦燥、怒り、退屈、孤立、うつ、緊張、イライラ、プレッシャー、無力感、罪悪感、屈辱感、自信喪失、見捨てられた気分、気が大きくなったとき、眠れないときなど、これも人によってさまざまです」
そして、薬物に手を染めないための日頃の心がけについて、次のように指摘する。
「よく言われるのは『HALT』が薬物中毒の引き金になる。Hungry(空腹)、Angry(怒り)、Lonely(孤独)、Tired(疲労)です。日々の生活でこれらをなるべく避けるには、きちんとした1日の行動スケジュールを立てておくことが大事です」
だが、空腹も怒りも孤独も疲労もない生活など、果たして送ることができるものだろうか? 清原容疑者の場合は、離婚後の孤独も薬物摂取の大きな要因となったのではといわれている。
不安や怒り、退屈や息抜きすらも薬物摂取の引き金となるとすれば、その危険な誘惑を拒むことが、いかに困難かが分かる。薬物中毒の恐ろしさは、ここにある。