そんなお気楽ペット愛好派の方々はむしろ、従来の同衾否定派(あるいは条件次第派)の見解を、この機会にこそ熟読して、自分がそれらのなんとも面倒な規律をクリアできるかどうかを再検証なさるべきだろう。
たとえば、われわれ人間と愛玩動物の双方が罹ってしまう病気、「人獣共通感染症(ZOONOSIS)」の名称ばかりか、それらの病気が日本では60~80種も数えられる(うちペットから人間に移る病気は30種前後)という内容も把握しておきたい。
一例を挙げれば、①ペストなどの伝染病(米国の9歳少年がノミが寄生中の猫と添い寝してペストに感染)、②猫引っかき病(cat-scratch disease: 米国では年間2万人以上が感染)、③MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌:犬との日常的添い寝でカリフォルニア州の40代主婦に感染)等のほか、サシガメという昆虫が媒介する「シャーガス病」、猫・犬関連だけでも「パスツレラ症」「Q熱」「エキノコックス症」と注意すべき感染症は数々ある。
そんな人獣共通感染症の予備知識は大前提として、次に挙げるような適切で手抜きのない飼育方法を守られる方ならば決して「ペットと一緒に寝る事」を恐れる必要もないだろう。
①ペットとのキスはNG
②人とペットの食器は別々に洗う
③飼い主の箸利用や口移しは厳禁
④混浴はNG
⑤接触や糞の処理後は石鹸で手を洗う
⑥動物病院の定期検査を怠らない
⑦糞の始末は小まめに
これらはほんの一例。寝室に招いて同衾するためには、ペットの足腰を気遣ってベッドの高さを熟考し、飼い主就寝中の装飾品や鞄の中身の“誤飲”を事前に防ぎ、極度の甘えん坊ほど「しつけの崩れ」を警戒、と規律の敷居は高い。
要は「愛情」と「同衾」は別のものと考えるべきではないか。最近は“ペット同居可”を謳う高齢者向け住宅サイトや、“布団で一緒に寝れます”が売りの全国のペット宿を紹介している旅行サイトも散見できる。しかし、日常の同衾生活で留守番不可や分離不安から吠えたり暴れたりのペットや、ゲージ不可やペットホテルNGの“我儘な愛息・愛娘”を生んでは逆効果だ。
さて、ペットと一緒に寝るか、それとも夜は離れ離れか!? あなたの決断はどちらだろう。
(文=編集部)