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【シリーズ「DNA鑑定秘話」第23回】

子ども16人をタイ人女性に「代理出産」させた日本人資産家の真意は?

16人もの子どもを代理出産させた意図は何か?

 代理出産の意図は何か? 重田氏は「世界のために私ができる最善のことは、たくさん子供を残すことだ。資産を引き継ぐ後継者が欲しかった」などと語ったという。

 また、重田氏の代理人弁護士は「重田氏は、代理出産で商業的な利益は上げていない。善意で子どものいない夫婦に赤ちゃんを渡すことが目的だ」と法的に問題はないと釈明。

 さらに、代理母を紹介したニュー・ライフ・グローバル・ネットワークの共同創設者であるマリアム・ククナシビリ氏は、「重田氏は、毎年10~15人の子供が欲しいと言った。100~1000人の子供をもうける計画があるらしい」と話した。

 重田氏の真の動機は何なのか? 相続税対策や不動産取得の方策とか、養子縁組への布石とか、人身売買とかさまざまな憶測クが取り沙汰されるものの、まったく判然としない。

 タイでは、商業的な代理出産は未公認、夫婦の血縁者が代理母になる代理出産以外は違反行為だ。だが、代理出産を規制する法律も罰則もなく、唯一の指針はタイ医療協議会のガイドラインだけ。病院や業者のホームページを見れば、男女の産み分け、代理出産、卵子提供などの情報が公然と宣伝され、代理出産ビジネスはほとんど野放し状態だった。タイ産婦人科学会生殖医療部会によれば、代理出産は、年間数千件に上るとみられている。

 ところが、2013年12月、タイ人女性が代理出産した双子のうち、ダウン症候群の男児の引き取りを拒否し、健康な女児だけを連れ帰ったオーストラリア人夫婦が非難を浴びる事件が注目を集めた。その後、代理出産の見直しの世論が強まり、規制強化の機運が高まった。

 折も折、2015年1月14日、今回、保護された乳幼児9人のタイ人代理母6人は、家庭裁判所に子どもの親権を求める民事訴訟を起こした。乳幼児9人はタイの社会福祉局に保護され、代理母たちは定期的に訪問や接触を許されていた。

 AFPBB Newsによれば、代理母6人は1人当たり約40万バーツ(約140万円)の報酬を得る契約を行って出産した。代理母6人は乳幼児たちへの社会福祉局の処遇や対応が適切でないと主張しているが、代理母たちの養育能力や安全な家庭環境の証明が問われているという。

外国人から依頼された代理出産は全面禁止になったが……

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