日本でも延命治療をしない「尊厳死」を求める動きは広がってきている。一般財団法人日本尊厳死協会には、実に11万8300人もの会員がいる。
だが、尊厳死で求めている「延命治療をしない」ということと、カリフォルニア州で今回成立した、医師が患者の求めに応じて致死薬を処方する「死ぬ権利」との間には、大きな隔たりがあると考えるべきだろう。
今回カリフォルニア州で成立した法案に関しては、「死ぬ権利」が次第に拡大解釈され、医療費のかかる末期患者が周囲を慮ってこの権利を行使してしまうのでは、という懸念が存在する。
それ以前に、患者本人にせよ医師にせよ、人間が生命をコントロールしていいものだろうか、という根源的な命題につきあたる。
生命は、それぞれがただひとつのもの。自分ひとりだけのものではない。医療や科学の発展が、生物の寿命を延ばすことに寄与してきた一方で、最期の遂げ方にどう関わるのか、今後も議論を呼びそうだ。
(文=編集部)