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【連載第12回 健康って何だ?~フィットネス道の探求~】

話題の「ファンクショナル」は、誤解された“知識の伝達”に陥っていないか?

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身近な“健康づくりのプロ”指導者の価値とは? wavebreakmedia/PIXTA(ピクスタ)

 さまざまな指導者や団体が提唱している「ファンクショナルトレーニング」。文字通り“機能性(ファンクショナル)を高める”のが目的だ。

 小柄ながらも、屈強な外国人相手にも当たり負けしないサッカーの長友佑都選手や、いまや“生ける伝説”となったイチロー選手も、実践しているという。

 フィットネスジムの宣伝文句や、雑誌の見出しにも登場する人気のファンクショナルトレーニングとは、そもそもは何なのか。

 その定義は、「機能解剖学やトレーニング科学の原理、原則に基づき、身体の機能を高めることを目的としたトレーニング」「トレーニングの原理・原則に基づく、動きをベースとしたトレーニング」「人間本来の正しい動きを求めながら行うトレーニング」などといわれている。そして、それには「5つの原則」がある。

ファンクショナルトレーニングの5原則

①重力の利用
 日常生活やスポーツ動作の基本は立位だ。立つから歩く、走る、ジャンプへと発展する。そして、常に重力という外力を受け、それに抵抗しながら自己調整する。そのため、重力を考慮、利用した運動やトレーニングを行う必要がある。

②分離と協同
 多くの関節を可動域内で上手に使えば、最大限に関節機能を発揮できる。人体には大きな動きに適した関節、適していない関節がある。だから、その役割を分離する必要があり、関節がしっかり固定されることで隣の関節が力を発揮(協同)する。分離と協同は機能的な動き作りに重要だ。パフォーマンス向上につながる。一方で、パフォーマンス低下はケガを招く。

③運動連鎖・キネティックチェーン
 キネティックチェーンとは運動連鎖のことだ。人の動作は、多くの筋肉や関節が連動する。これらのスムーズな連動が効率のよい動きを生む。

④3面運動
 動作は基本的に3面(矢状面、前額面、水平面)で成立している。その機能を改善するためにも、3面を意識したトレーニングが有効だ。

⑤力の吸収と力の発揮
 ある動作の前に、無意識にその反対の動作を先に行うことはないだろうか。たとえば、ジャンプの際にしゃがみこむ。これは力を発揮する前に力の吸収を行っている。より大きな力を発揮するには “力の吸収”に着目しなければならない。

説明不足による誤解された“知識の伝達”に陥っていないか

村上勇(むらかみ・いさむ)

フィットネスアドバイザー。JT東京男子バレーボール選手を引退後、現・スポーツクラブ「ルネサンス」に勤務。2007年から「メディカルフィットネス+スパ ラ・ヴィータ」のゼネラルマネージャーとして施設運営に携わる一方、トレーナーとして主婦や高齢者、アスリート(サッカーチーム・モンテディオ山形、加藤条冶:スピードスケート、黒田吉隆:レーシングドライバー)、著名人(指揮者・飯森範親など)を幅広く指導。現在は株式会社ドリームゲート代表として、スポーツチーム・アスリート・企業などを指導、運営協力に携わる。

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