同じくニュージーランドのオタゴ大学を中心とした研究グループが、小児科学の専門誌『ペディアトリクス』(2015年8月号)に報告した内容によると、「家庭も巻き込んだ子どもの肥満対策の取り組みは効果的である」という。
経済協力開発機構(OECD)のデータによると、ニュージーランドは米国やメキシコなどと並んで国民の肥満率が世界でも最も高い国の一つ。子どもの肥満も社会問題となっている。
研究グループは2年間にわたり、206人(4~8歳)の過体重および肥満の子どもを対象に、家庭も巻き込んだ肥満対策を実施・検証した。
対象の子どもは、無作為に「通常のケア」「個人に合わせたケア」の2つのグループに分けられた。「通常のケア」は、家族がケアの開始時と半年後の2回、健康的な生活習慣について、子ども本人の状況に合わせたフィードバックと一般的なアドバイスを受ける。「個人に合わせたケア」は、より念入りに子どもと家族への関与を強めていく内容となっている。
個人の目的に合わせたケアが肥満を解消
その結果、個人の目的に合わせたケアの方が、肥満が解消されていることが判明。さらに、「通常なケア」を受けた場合に比べて、子どもたちは果物や野菜を食べる量が多く、間食が少なくなり、さらに運動量も多くなっていたという。
日本では近年、家族が不在の食卓で、ひとりだけで食べる「孤食」が増えている。当然、好きな物を食べる傾向になり栄養も偏りがちだ。小児肥満の子どもは、その約7割が成人肥満に移行すると考えられており、できるだけ早い時期に介入したほうが改善させやすい。身近な家族も含めたサポートは、より有効な肥満予防として積極的に取り入れるべきだろう。
(文=編集部)