シフトの組み方で健康へのリスクを軽減
シフトワーカーの健康へのリスクを軽減するためにはどうしたらいいか?
まず、シフトワーカーの始業時間は、次第に早くするのではなく、次第に遅くするほうがいい。たとえば、「日勤→早朝勤→深夜勤→夜勤→夕方勤」ではなく、「日勤→夕方勤→夜勤→深夜勤→早朝勤」というように、少しずつ始業時間を遅らせてシフトを組む。人間の体内時計は24時間より少し長いので、始業時間を「前倒し」にするよりも「後ろ倒し」にして遅らせたほうが、新しいリズムに慣れやすいからだ。
同様の理由で、「早出」の勤務はなるべく避ける。「普段よりも早く起きなければ......」と意識することで、その緊張から寝つきが悪くなる、眠りが浅くなる、早く目覚めてしまうといった睡眠障害を起こしやすく、シフトワーカーの休息を奪ってしまう。もちろん、シフトワークは疲れが取れにくいので、残業も避けたい。
また、勤務間隔、つまり前日の終業時刻から、翌日の始業時刻までの間隔は、日勤と同様、基本は16時間、少なくても11時間は確保して、勤務間隔が短い日が連続しないように注意したい。最低11時間の勤務間隔がないと、睡眠や休息が確保できない。そもそもシフトワーカーは時差ボケ状態で「寝つきが悪い」などの睡眠障害傾向があるため、日勤者以上の休養が必要だ。
さらに、夜勤は続けないこと。夜勤を2日続けると、体内時計が夜型になる。その状態からまた日勤に変わると、体内時計の乱れがひどくなる。夜勤後は、少なくとも24時間以上の休みにし、もし2日連続で夜勤をした場合は、48時間以上の休みにする。夜勤でずれた体内時計を取り戻すには、それだけの時間がかかる。特に中高年は、昼間の睡眠では疲労回復が難しいという研究結果もあり、夜間の休息時間を確保したい。
自分でできるシフトワークの疲労軽減術
このような配慮は、当然、雇用者が行うことだが、いまの時代、なかなか難しい面もある。労働者としても自衛策を講じたほうがいい。
自衛策のポイントは朝食だ。具体的には、前に食事をした時刻からできるだけ時間を空けて次の食事を摂ること。食事の間隔が空くことで、その食事が「朝食」であると人間の体に自覚させ、体内時計をコントローするのだ。そして朝食には、血糖値を急上昇させる白米や白いパンなど精製された炭水化物をしっかり摂ること。また、本来の睡眠時刻にはできるだけ食事を控え、その間の食事は炭水化物を抜くこと。
フランス政府の委託でヴィスナール教授が2万人の交代勤務労働者を対象に調査した結果はよく知られている。それによると夜勤者は寿命を10年以上縮めるとしている。夜勤が長くなればなるほどイライラ、意気消沈、不眠、胃病などの症状が現れ次第に健康を害し、寿命を縮めるという。
シフトワークは長く続けるほど、また中高年ほどダメージが大きいと言われている。健康に長生きしたいなら、できるだけシフトワークは若いうちにとどめたいところだ。
(文=編集部)