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【シリーズ 感染症NOW!終わりなき闘い 第1回】

韓国でのMERS騒動 ビル・ゲイツもパンデミックの可能性を指摘!?

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致死性の高い感染症の流行が怖い yochika photographer / Shutterstock.com

 

 追えば追うほど、暖簾に腕押しのような空しさ。逃げれば逃げるほど泥沼の深みにはまるような疎外感。臭いも音も影もなく、空気中に潜み、ただよい、人の免疫をかいくぐり、生命を脅かす感染症。人類はさまざまな感染症と闘ってきた。

 14世紀、ヨーロッパの全人口の約3分の1に匹敵する約2,000〜3,000万人を死滅させたペスト。差別の温床を生んだハンセン病。20世紀初頭に蔓延したスペイン風邪は、感染者5億人、死者1億人に及ぶパンデミック(世界的流行)となった。

 エイズ、鳥インフルエンザなどの新興感染症。紀元前にも痕跡が見られるマラリアや国民病と呼ばれた結核などの再興感染症。西アフリカで感染が広がっているエボラ出血熱。およそ70年ぶりに渡航歴がない人の感染が国内で確認されたデング熱。殺人マダニのSFTSウイルスによる重症熱性血小板減少症候群。インフルエンザに似た症状を引き起こすSARS(重症呼吸器症候群)...。空気感染、飛沫感染、セックス、ペット、海外の往来者など、予知不能なルートから忍び寄り、人類に襲いかかる恐るべき感染症ウイルスの数々。枚挙にいとまがない。

 発症、蔓延、防疫、病原体の探索、薬剤耐性ウイルスの出現、薬剤やワクチンの研究・開発...。人類と感染症は、イタチごっこのような終わりのない闘争に明け暮れている。しかし、人類が撲滅に成功した感染症は天然痘だけだ。種痘ワクチンが世界に浸透した天然痘は、1980年にWHO(世界保健機関)が根絶宣言をした。常に人類の脅威である感染症。その克服すべき課題や取り組むべき対策は何だろうか?

 2015年6月現在、韓国の医療機関で流行し、終息の見通しが立たないMERS(中東呼吸器症候群) 。ペストやスペイン風邪の再来かと恐れられているほどだ。致死性の高いウイルスによる未曾有のバイオハザード(微生物災害)に至るのか?アウトブレイク(集団大発生)は迫っているのか?パンデミックは防げるのか?

ビル・ゲイツも警告!MERSの致死的パンデミックの恐怖

 マイクロソフトのプログラマーだった中島聡氏のメルマガ『週刊 Life is beautiful』最新号(6月)によれば、マイクロソフトのビル・ゲイツ氏は、動画「What is Bill Gates afraid of?」で感染症の恐怖をスピーチ。韓国を巻き込んでいるMERSは、決して対岸の火事ではないと強く警告を発している。

 ゲイツ氏は「人類が1000万人を超える規模の人命が失われる大災害として恐れるべきなのは、大隕石や核戦争ではなく、感染症だ。スペイン風邪の流行は、第一次・第二次世界大戦に匹敵する人命を奪った。これだけグローバル化が進んだ現代において、同じような感染症が流行れば、その被害は計り知れないものになる」と警鐘を鳴らしている。

 この20年間、鳥インフルエンザが奪った人命は数10人に留まった。幸いにもウイルスの感染力が低く、 インフルエンザ・ウイルスのように人へ伝染しなかったために、被害は最小限に抑えられたからだ。伝染病や感染症の研究者たちが一番恐れるのは、通常のインフルエンザと同じ伝染力を持つMERSやSARSのような致死率の高い感染症が流行ることだ。

 「インフルエンザの突然変異のスピードやMERSの感染力を考えれば、パンデミックがいつ起こるかという時間の問題でしかない。各国政府は、その時のための準備に傾注すべきだ。そのコストは、次の戦争のために各国が費やしている軍事費よりも、はるかに安あがりになるだろう」。ビル・ゲイツ氏の主張は説得力がある。
(文=編集部)

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