女性は便秘に悩む人が少なくないが、大腸で便が滞(とどこお)ると悪玉菌によって腐敗が進み、毒性物質が増え大腸がんをひきおこすリスクがあるという。ここで耳寄りの話がある。大腸内視鏡検査を受けると、がんこな便秘が解消する例がよく見られるというのだ。
「検査の前には、マグネシウム下剤を飲んで腸内を空っぽにします。そして、検査後に乳酸菌製剤をたくさん飲むことで、腸内の善玉菌の比率を増やして腸内環境を改善することができます。検査前に環境が悪化していた方なら、まさに腸内革命と呼べる劇的な変化をいっきに起こすことができるのです。その結果、便秘が改善する方も多い」
大腸内には、100兆個以上1000種類にも及ぶ菌が棲みついているが、善玉菌、悪玉菌、善にも悪にもなる日和見菌に分けられる。理想の比率は2対1対7といわれ、善玉菌の割合が少ないと、便秘、さらには免疫低下やがんにもつながるといわれている。
「そして、検査によって便秘が解消するもうひとつの理由は、内視鏡を挿入するときに、大腸の不自然なねじれなどが自然に矯正されて形が整い、便通がよくなるためです。たとえば肛門に近いS字結腸はループを描いていますが、これが普通と逆向きの方がいて、みなさん生まれながらの便秘に悩まされています。こういう方たちは、検査によって逆ループが改善されると、『生まれて初めて快便を体験しました』と非常に喜ばれます」
このように、腸内環境の改善にも役立ち、また大腸がん撲滅の最も有効な方法となる内視鏡検査だが、受ける人はまだ、がん年齢者の4分の1程度だという。次回は、大腸がんの特徴と内視鏡検査の効果的な受け方について話を聞く。