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眠りたいなら「羊」を数えてはいけない! 不眠・寝不足時代の正しい睡眠方法

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羊を数える方法は入眠には逆効果 shutterstock.com

 現代は「不眠・寝不足時代」といわれることがある。テレビの深夜放送や24時間営業のスーパーやコンビニ、ファストフード店が当たり前になり、寝不足や睡眠リズムが乱れている人の割合は、100年前、いや四半世紀前と比べても増えているのではなかろうか。

 厚生労働省健康局がまとめた『平成24年国民健康・栄養調査報告』によると、「睡眠による休養が十分とれているか」の問いに対して、「あまりとれていない」、または「まったくとれていない」と回答した人の割合が全体の約15%にのぼっている。30代・40代は特に多く、およそ5人に1人が睡眠に不満をもっていることが明らかになった。

 ところで、2015年は十二支で「ひつじ」。よく「眠れないときは羊を数えるとよい」といわれるが、実際のところはどうなのか?

 イギリスが発祥とされる「羊数え(Counting Sheep)」の由来には諸説ある。「羊飼いが羊を数えているうちに眠くなってしまったから」という説や、「羊=シープ(sheep)」の発音が眠りに向いているという説、眠れない人が自分自身へ「sleep sleep(眠れ、眠れ)」とつぶやいたのが、いつしか「sheep sheep(羊、羊)」になってしまったという説などなど......。

 人間は同じ作業を繰り返していると、脳内に心身をリラックスさせる「アルファー波」という脳波が現われる。このアルファー波は人が眠る直前にも出ていることから、「sheep」という韻の同じ言葉を繰り返し言い続けることで眠くなることもあるかもしれない。

羊よりも"キレイな風景"をイメージして腹式呼吸?

 だが、2002年に発表されたオックスフォード大学の研究によれば、羊を数える方法は入眠には逆効果だという。

 この研究は、被験者を3つのグループに分けて行われた。その結果、入眠に際し、羊を数えるグループや何もしないグループに比べ、浜に打ち寄せる水や滝を思い浮かべたグループのほうが、平均20分も早く眠りに落ちたのである。つまり、不眠に効果があるのは、「羊を数える」行為よりも、滝などの「キレイな風景をイメージする」ことのほうだったのだ。

 日本でも「羊数え」に関連した研究が報告されている。2012年に広島国際大学の田中秀樹教授らは、昼間眠くない状態の大学生14人について、羊を数えることと腹式呼吸を行うことの2通りで実験をした。

 その結果、「20分間で3分以上継続する眠り」にまで至ったのは、羊を数えた場合の5人に対して、腹式呼吸は9人と約2倍となった。この報告では、「腹式呼吸を行うと、脳の興奮を抑えて心身ともにリラックスでき、早く眠気をもよおす。羊を数えるより、腹式呼吸のほうが効果的」と結論づけている。

 また、腹式呼吸については、東邦大学の有田秀穂名誉教授も実験を行っている。脳波計や心拍計などを用いたこの実験では、腹式呼吸をすると5分後には脳内にアルファー波が出始めたという。

 結局、羊を数えることは、それを牧歌的だと思える人以外には効果がないといっていいだろう。

 それでは、「羊数え」などに頼らず、質の良い睡眠をする方法はあるのか? 腹式呼吸以外にも、入眠を誘うには、以下のような様々な方法がある。

●就寝前のカフェインやアルコールは控える。
●寝る前にパソコン、テレビ、携帯電話、スマートフォンを見ない。
●寝る1~2時間前に部屋の照明を暗くする。

 カフェンに覚醒効果があることは知られているが、実はアルコールも同じ効果がある。しかし、「寝酒」のレベルを超えて、アルコールを大量に摂取すると、大脳の活動を鎮静化するため眠くなってくる。たしかに、脳が興奮状態にあるときや、ストレスや悩みを抱えている人には効果があるものの、入眠後、数時間で目が覚めてしまうなど「眠りの質」が悪くなってしまうというデメリットがある。

「寝る前にパソコン、テレビ、携帯電話、スマートフォン見ない」、また「寝る1~2時間前に部屋の照明を暗くする」というのは、上記と同様、脳に与える刺激を少なくし、覚醒効果を抑える効果がある。

 これは一例にすぎず、ほかにも様々な入眠方法があるが、いずれにしろ眠るという行為に対しての環境を整えることが必要だ。「羊」に頼らずに気持ちよく眠れるよう、自分でできることから試してみてはどうだろうか。
(文=編集部)

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