東京の感染者数は全くの嘘っぱち!?
東京のコロナ感染者数の報告が異常なことになっている。東京だけ突出して無症状のコロナ感染者数の割合が異常に多くなっているのだ。これは大阪や全国のコロナ感染者の大半が有症状者で占められていることと対照的だ。その原因は東京では民間検査会社での検査が急増していることと、保健所か取り仕切る行政検査、主に症状のあるひと(およびその濃厚接触者)に対する検査が激減していることによる。以下に当院で実際に体験した例を挙げて説明する。
民間の検査数の急増とその舞台裏
連休前にK工務店が運営する民間PCR検査でコロナ(+)の結果を受けたという方が当院を受診された。提携している医療機関がゴールデンウィーク中ずっと休みということで、都発熱センターに相談した上で当院を受診された。検査会社からは陽性なら必ず医療機関を受診して再検査を受けるようにと説明されたとのこと。いまだに民間検査会社の検査結果が信頼されていないことは驚きだ。そこで管轄の保健所に電話して確認したところ、やはりPCR検査で再確認するようにと指示された。
連休中も当院はほぼ発熱外来を続けていたが、大手の検査会社が連休中は休みに入ったためにPCR検査はできなかった。東京都からの要請があったので連休中の診療を実施したのに、東京都は検査会社へは連休中の検査体制を維持するように依頼はしなかったのは全くの片手落ちだ。それで保健所にPCR検査は連休中はできないと告げると、患者さんがすでに当院を受診されているにも関わらず、保健所がこれからPCRができる診療所を探すと言い出した。どこのクリニックでも状況は同じはずだと話したら自分の施設で検査解析までできるところがあると言い張って主張を曲げなかった。
そこでそんなに行政検査によるPCRの再検査にこだわるなら、連休中にコロナ抗原定性検査で陽性の症例は確定診断として届けなくてもいいことになるのではないかと問いただしたところ、急に方針を覆して抗原検査でもいいと言い出して前言を撤回した。抗原検査を含めた行政検査で高額な助成金を使って再検査を実施する必要はないと思われたが、保健所が引き下がらないので仕方なく抗原検査実施、たちどころに陽性とでて保健所に届け出を済ませた。
要するに民間検査でコロナ(+)出た人でもその人がその後に診療所を受診して再検査を受けなければ、東京都のデータに上がってこないのだ。検査会社から保健所に届けを出すシステムにすればそれで終わりのはずで全くばかげた話だ。
もちろん保健所の職員は上からの指示に従っているだけなわけで、政府や分科会が無策なだけだ。感染者が蔓延している状況の中では行政検査だけでは処理しきれないことは明白で、民間の検査をどんどん利用すべき状況だ。しかしながら現状では民間検査の結果は東京都のデータに上がりにくい。それでも指示通り提携診療所を受診して再検査した例は統計に上がってくるので東京では無症状のコロナ検査数としては急増していると思われるが、統計に載っているのは氷山の一角ということになる。このような状況はもう1年前からずっと続いているわけで、このような検査体制での陽性率などは全くあてにならない。それでもランダムなサンプリングのデータを採ろうとはしない行政、今や現行の指導者が指揮をとっているあいだに大きな改革が行われることは期待できないし、もはや期待していない。