治療薬とワクチン開発の可能性はどれほどあるのか
厚生労働省は5月7日、レムデシビルを新型コロナウイルス感染症に対する国内初の治療薬として承認している。レムデシビルはもともとエボラ出血熱の治療薬として開発されていた抗ウイルス薬だ。
安倍晋三首相は5月14日の記者会見で、新型コロナウイルス感染症治療薬の開発状況に言及し、抗インフルエンザウイルス薬「アビガン」膵炎治療薬「フサン」、抗IL-6受容体抗体「アクテムラ」、抗寄生虫薬「ストロメクトール」(イベルメクチン)についても早期の薬事承認を目指すとの趣旨の発言をした。
もちろん治療薬と同時に開発が待たれるのがワクチンなのだが、その可能性はどうなのだろう。竹島先生は次のように話す。
「すでに現実の臨床の現場では、現在話題になっているアビガンや重症化した場合の抗マラリヤ薬、膵炎治療薬などで治療が行われ、それなりの効果は出ていると思います。ただ、ほとんどが対処療法で根治薬はいまだに見つかっていません。治療薬に関して、既存薬の適応拡大が多く、ゼロから治験を経て創薬するのはかなり大変だと思います。なぜなら流行が収束した場合、あるいはワクチンが開発されてしまえば、需要が急激に落ちるため創薬のために膨大な開発費をつぎ込めません。しかし、より開発が難しいと思われるワクチンについては、世界的なパンデミックゆえに変異の早さやウイルスのタイプなど膨大なデータが得られ、あらゆる研究者が同時に取り組くんでいて、現在は対処療法を行いつつワクチンの開発を持っているという状況だと思います」
そんな中で注目されるCOVID-19に対する幹細胞治療。次回はその具体的な可能性について詳しく話を聞く。(続)
(文=編集部)