痩せる体質からウエイトを増やすために食生活を改良
普段取り組んでいるウェイトトレーニング方法について訪ねると、横尾選手は「スクワット、ベンチトレーニング、テッドリフトがメイン。そこに懸垂なんかが入ってくるんです。ウェイトトレーニングは特殊なことはせず、基本的なことばかり。7人制の場合は、みんな走れることが条件。それに加えて自分に求められるトレーニングが課されるんですけど、足の速さ、足の筋力が、すごく大切。そこに時間を割いています」と話し、「瞬発力が必要なので、お尻を鍛えたり、広背筋を鍛えることもすごく重要」と説明する。
インタビューに答えてくれた横尾選手
だが、練習はハード。怪我の恐れは常に伴う。「ものすごく走った後に足を鍛えるのは、怪我のリスクがあるんです。最初に足を鍛えて、その後、思い切り走って、疲れきっている時に上半身をやるという感じです」と筋力トレーニングの行程にも気を配っている。
前述の痩せる体質からウエイトを増やす作業に関しては、朝、昼、夜の三食の中で工夫をしながら増量に励む。「何もしないとすぐに痩せてしまうんです。まずタンパク質を体の中に入れて、余ったところに炭水化物を入れていくやり方を教えてもらって実践しています。炭水化物はご飯しか炭水化物じゃないという考え方も止めました。ブドウジュースで補ったり、いろんなもので代用がきくので、そこも意識をするようになりました」
氷水の入ったアイスバスで疲労回復
ちなみに1日のトレーニングの行程は「朝7時にまず朝食。9時半から練習。ここではラグビーボールを使った結構息の上がる練習をします。12時から昼食で、昼食を食べてからは、ナップタイムという睡眠の時間があるんです。1時間くらい寝た後で、14時30分くらいからまた練習。フォーメーションを合わせるスクラムとかポジションの練習をして、その後がようやくウェイトトレーニング。それが終わると、17時くらいから30分くらいコンディショニングという走りをやります」とのこと。
コンディショニングが終わるとアイスバスを行う。横尾選手いわく「温かいお風呂より氷水の入ったアイスバスのほうが、疲労がとれる感じがある」という。「次の日がオフだったら温かいお風呂に入って、体をリラックスさせたりもします。でも通常は次の日にも練習があるので、あんまりだらけ過ぎたままで終わりたくない気持ちから、アイスバスに入るんです」と教えてくれた。
夕食の後は「ケアの時間」が待っている。アイスバスと共に1日の疲労をとる大事な時間だ。「マッサージとかをしてもらったりするんですけど、マッサージにただ頼るんじゃなくて、自分で自分をケアをすることも大切にしています。みんないろんなグッズとかを用意して自分でもケアをしています」と横尾選手。普段使っているケアのための器具なども話してくれた。
女子ラグビー選手の疲労回復法
まず先に上がったのは「ゲームレディ」だ。トップアスリートたちがこぞって愛用するアイシングマシンで、冷却療法と圧迫療法を同時に行い、体のダメージを比較的早期に回復させることができる。
「怪我をしている人は自分で電気をかけたり。みんな痛いところがすごく多いんです。ラグビーは怪我が多いんですけど、それを全員がいちいちトレーナーさんに見てもらうと、とても時間がかかるので、自分でケアができるようにしている選手が多いです。そういう機械とかを自分で駆使して疲労回復やケアに費やすのが食事の後の寝るまでの時間になります」
マッサージは1人30分くらい行うという。「場所にもよるんですけど、背中とかは自分で触れない部分なのでケアしてもらったりします」と横尾選手。
就寝は22時くらい。「疲れきって22時くらいに寝ます」と笑顔を見せるが、意外と寝付きが悪いなど、睡眠に関する悩みは少ない。「基本的には疲れているので、横になればすぐに寝ちゃうんですが、みんな睡眠には困っていないです(笑)」という。
「遠征が多いため時差に悩まされる人も多く、睡眠のコントロールには、みんな気を遣っています。時差調整するために、イヤホンの中から光が出て脳に当てる器具(Valkee「HumanCharger」など)を使ってよく寝れるように調整したりしています」
また、アロマオイルを枕に垂らして寝ることが、女子ラグビー選手の間で流行ったこともあったという。
「すごく効果がある人は好きでよくやっています。ただ、合宿所では1人部屋でなく何人かで、いつも違うメンバーで寝ることが多いので、人に対するケアもあって、嫌そうな人がいたらやめたり」と注意も忘れない。就寝の際はハイブリッドマットレス「エアーSX」を使っているとも教えてくれた。
睡眠時間も大切だ。「今までは6時間か7時間しか寝ていなかったんですけど、なかなかウエイトが上がらなかった時に睡眠が少ないことを指摘されて、それから8時間以上は寝るようになりました」と明かす。「食べることとトレーニングに注力しすぎて、そういうことに気を遣っていなかったんです」