ドラマ『アンナチュラル』第5話は溺死の理由(depositphotos.com)
joy(女医)に対する世間の好奇と偏見! それを阻止するために、週刊誌に心を痛めながら別のネタを売ってしまう久部。『アンナチュラル』は、回を追うごとにスピーディーに話が展開し、今後の展開にあらゆる布石がちりばめられているようです。
さて、今回は溺死でした。
「平成28年 厚生労働省人口動態統計月報年計(概数)の概況」によると不慮の溺死及び溺水が 7682人もいます。そんな沢山……。溺死は、何らかの原因で気管や肺に水が入り、呼吸が停止して死ぬことですから、洗面器一杯の水があれば、状況次第では溺死が起り得ます。怖い……。
事故死か殺人か、同じ水中死でも死因はさまざま
溺死を起こす液体はほとんどが「水」です。だから水の成分とその移動の仕方が大切な証拠になっていきますね。
淡水中(河川、湖、プール、浴槽)、あるいは海中の事故なのかといったように水を調べることで、事件発症の場所や時間特定やその経過までも、ご遺体から推測することが可能です。法医学の教科書には時間経過と臓器の変化、水の動きの表までのっていました。先人の研究者の方々の功績です。
ミコトも「肺がしぼんでいるから死後5日くらいは経っているね~」といっていましたね。最後の段階でもその肺の大きさに違和感を覚えて真相を突き止めた、わけです。
水中で一生懸命呼吸をしたら肺に水が入ります。その肺の中の水の状態や珪藻(プランクトン)の有無などで水の種類が判別可能なのです。(これ、以前偶然見た番組で、我らが上野正彦先生の研究成果だと語っておられました!)
淡水か海水かによって体の反応が違ってきます。淡水では血中の電解質のアンバランスからの心房細動(心臓がきちんと動かなくうなる不整脈の一種)、海水では同じ電解質バランスが崩れでも肺浮腫(肺がむくんでしまう)で死に至るそうです。今回は心臓の中の水の電解質の濃度の違いで判断されていましたね。
でも、一概に「水中死」といっても水辺をお散歩中に心臓発作やてんかん発作で倒れて溺死したのか、あるいは殺害後の水中遺棄の可能性もあり、その死因が溺死とは限らなくなってくるので、事細かな診断がこれまたと~っても大切になってくるのは言うまでもありません。
アンナチュラル第5回ともなると、ここら辺の推測はできるようになってきますね!ドラマの中盤で、私は、これはきっと母親が娘と口論して事故で落としてしまったんだ、とか、ネックレスを落として拾おうとして事故死か?などとあらゆる推測をしながら見ておりました。