芸人効果でバカ売れのiQOS天国の日本
実は昨秋の『PLOS ONE』(10月11日オンライン版)に「アイコス先進国」とも呼べる日本国民にとっては無視できない警鐘記事が掲載された――。
そもそもフィリップ・モリス社が件の革新的商品iQOSの発売開始(2014年後半期)に際し、その「最初の市場」として日本を選んだことを、いったいどれだけの読者がご存じだろうか?
わが国の場合、フィリップ・モリス社の狙いが想定以上に奏功し、大ブレイクしたのは周知の事実。そのブレイクの直截的きっかけが、テレビ朝日系の大人気番組『アメトーク』の「最新!芸人タバコ事情」特集(2016年4月放送)だったことを否定する向きはいないだろう。
番組放送中から「アイコス」の四文字がGoogle検索で赤マル急上昇したことからも、その意図せぬPR効果(TV局・芸人たちの所属事務所の双方とも、フィリップ・モリス社との事前接触は否定している)の大きさが窺える。
ところが問題は、前出誌の掲載論文上で筆頭著者のTheodore Caputi氏(米国・ペンシルベニア大学ウォートン校公衆衛生学)が述べている下記の指摘だ。
「加熱式タバコによる健康への影響について、我々はまだ十分な知識を持ち合わせてはいない。にもかかわらず、日本では(iQOSの発売前から)2017年までに加熱式タバコ関連ワードが約3000%も増加した。現在も1日当たりのGoogle検索数が約750万件にも上るという、この日本の異常な関心状況は公衆衛生上、極めて危険といわざるをえない」
これ以上、言葉を足す必要のない「禁煙後進国」日本の現況分析といえるだろう。一夜にして「アイコス芸人」なる総称が定着し、「いきなりiQOS」的な商品の奪い合いさえ起きたこの国のタバコ事情。近々のFDA裁定を最も注視すべき国民は、私たち日本人かもしれない。
(文=編集部)